恋バナ(長谷川仁美視点)
「ねえねえ綾!
「え?恋バナ……?」
勉強会の翌日の日曜日。
榎本の家では幼馴染同士による榎本への
「それは別にいいけど……誰の恋バナをするの?」
「それは当然綾のに決まってるじゃん!」
「私!?」
「そーそーぶっちゃけ小泉くんのこと好きなんでしょ〜?」
その言葉で可愛らしい私の幼馴染は顔を真っ赤に染める。
あ〜もう綾は本当に可愛いんだから!
「そういうのじゃないもん。本当に好きとかじゃ……」
「そんなに意地張らなくてもいいのに。顔真っ赤だよ?」
「う……それは……」
「恥ずかしがらなくてもいいんだよ。むしろ女子高生なんて
「じゃあそういう仁美はどうなの?」
「今は私のことはいいのー!それより綾の話を聞かせてよ〜」
私を標的にしようとしたってそうはいかない。
今日は日曜日で時間もたっぷりあるし綾の恋バナなんてまさに人生初の激レアな話題を逃すわけないじゃん。
「で、小泉くんのことどう思ってるの?」
「……わからない」
「わからない?」
「うん、こんな気持ちになったことないもん……」
まぁ小泉くんの過去も相当だったけど綾もあんなことがあったからなぁ……
多分初恋もしたこと無いっていうかこれが初恋なんじゃないかな?
さぁどうしたものか……
「小泉くんと付き合ってみたいとか無いの?」
「そういうの考えたこと無いし私が男性と付き合うなんて想像できないよ……」
「じゃあ仮に小泉くんが誰か女の人と付き合って四人で中々集まれなくなったらどう思う?」
「それは………ぃゃ……」
小さくてもはっきりと示した嫉妬。
なーんだやっぱり好きなんじゃん。
幼馴染の高校生という遅い初恋に戸惑っている姿が微笑ましくて仕方ない。
「てことはやっぱり好きなんじゃない!?」
「そう……なのかな……?」
「前まで気になってる〜って言ってただけだったのにいつの間にそう思うようになったの?」
服部くんから体育祭の件は聞いてるからなんとなく想像はついてるけど……せっかくの恋バナだしやっぱり本人の口から聞きたいよね!
それにほら……もしかしたら私が知らない他の理由があるかもしれないし!
「それは……小泉さんってすごく優しいしかっこいいし……」
「うんうん!」
「それにずっと私は小泉さんに冷たくしてきたのに体育祭のとき『一緒にいたい』ってくれたから……」
うん。私から話題振っておいてアレだけどすっごい甘いね!
そしてとにかく可愛い!
恋する綾が可愛いよ〜!
やっぱり小泉くんと綾にくっついて欲しいな〜
「そっかーそんなこと小泉くんが言ってたんだ〜」
「私、好きとかはまだよくわからないけど小泉さんともっと仲良くなりたい」
「うんうん。テストが終わったら夏休みも近くなってくるし頑張ってみよう!それに綾が可愛〜く小泉くんにおねだりすればデートとかしてくれるかもしれないよ?」
「っ!?そんなことしないもん!」
「照れなくてもいいのに」
「照れてない!」
ムキになる綾に思わず苦笑する。
これはまだまだ先は長そうだなぁ……
「夏休みは四人でプールとか夏祭りに行こうね!」
「プ、プールは恥ずかしいかも……」
「えー小泉くん絶対喜ぶのに〜」
「恥ずかしいものは恥ずかしいの!」
これから来る夏に思いを馳せる二人であった。
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