ボウリング対決
俺の家で勉強会をやった翌日のこと。
俺達は駅前で待ち合わせをしていた。
午前に集まりボウリングをして昼食をとりカラオケに行く予定だ。
榎本達を待たせてナンパに会わせる訳にもいかないので一応30分前には集合場所に到着した。
「お、早いな」
15分くらい待っていると優がやってきた。
「おはよう優」
「おはよ、達也。随分早いんだな」
「榎本さん達を待たせるわけにはいかないからね」
「そりゃあいい心がけだ。ただ早すぎる気がしなくもないけど……」
「まぁ早い分にはいいだろ?お、あれじゃないか?」
遠くに榎本と長谷川が歩いているのが見えた。
向こうもこちらに気づいたみたいで長谷川がこちらに手を振っている。
5月になり暖かくなってきたし今日はボウリングで多少体を動かすので二人とも涼し気で動きやすそうな格好をしていた。
「二人ともおはよ〜」
「おはようございます」
「おはよ〜二人とも可愛いね〜」
「おはよう。とても似合ってると思うぞ」
とりあえず女子の服装は褒めろ。
昨日榎本たちを見て気に入ったらしい母さんが今日俺が四人で遊ぶ事を知り口酸っぱく言ってきた。
まぁお世辞じゃなく本当に似合っているし元から褒めるつもりではあったけどな。
「それじゃあ早速ボウリングに行こう〜!」
ボウリング場についた俺たちは2ゲームで受付をし早速準備をする。
ちなみに全員マイシューズ、ボールを持っていないエンジョイ勢だった。
俺もボウリングをするのは久しぶり……だったがこの日のためにしっかりと先週末に練習して仕上げてきた。
遊びのために何で練習するんだという意見は受け付けていない。
俺も普通の男子高校生だから女子の前で無様な格好を晒したくないしなんなら格好良いと思ってほしい。
「よーしじゃあとりあえず肩肘張らず1ゲームやろうか」
「それが良いと思う。久しぶりの人もいるだろうし」
俺たちはまずは何も考えずのんびりと1ゲームすることにした。
優は女子とよく来ることで磨かれたスキルを見せつけていたし俺も優ほどではないけど練習の成果が出た。
榎本も普通に上手だったんだけど……
「なんでみんなそんなに上手いの!?全然うまくいかないよ〜」
長谷川のスコアが壊滅していた。
どうやらボウリングに来たことがあまりないらしい。
明るくて親しみやすい長谷川はこういう人付き合いが多いのかと思ってたから少し意外だった。
「もうちょっと体の力を抜いてみて。仁美はちょっと力が入り過ぎだと思うよ」
「わかった!とにかくやってみる!」
すると榎本のアドバイスでコツを掴んだのかあっという間にスコアが伸びていった。
元々の運動神経が良いんだろうな……
それからものんびり投げ続けとりあえず1ゲームが終わった。
「いやー楽しかった!綾のアドバイスのお陰でだいぶ投げられるようになったよ!」
「だとしても普通はアドバイス一つでこんな劇的にスコアが伸びることは無いと思うんだけどね……」
「本当に上手だったよ!それで最後の1ゲームなんだけど……」
「なんかあるのか?優」
「チーム戦で罰ゲームありにしない?」
チーム戦で罰ゲーム?
俺はゲームが盛り上がるから変な罰ゲームとかじゃなければ全然良いけど榎本と長谷川はどうなんだろう?
「いいね〜やろやろ」
「変な罰ゲームじゃなければ構いません。絶対に負けません」
二人ともめっちゃ乗り気じゃん……
榎本に至ってはなんかすごいやる気と闘争心で満ち溢れてるけど……
こういう一面もあるんだなぁ。
全員異論は無いということでチームは順位的に1位の優&4位の長谷川チームと2位の俺と3位の榎本というチーム分けになった。
ちなみに罰ゲームは負けチームが勝ちチームに昼食を奢るというもの。
昼食代のために絶対に負けられない……!
「よろしく榎本さん。絶対に勝とうね」
「こちらこそよろしくお願いします。負けたくないので絶対に勝ちましょう」
長谷川も俺と同じく負けず嫌いなのだろう。
これでもかと先程よりもやる気に満ちている。
でもそんな姿が可愛らしくて微笑ましくて思わずクスッと笑ってしまった。
「何を笑っているんですか?」
「いや、ごめんごめん。切り替えるよ」
優は相変わらず上手いし途中長谷川も驚異的なプレーをみせ俺たちの奮戦もあり白熱したゲームになった。
「最後の一投……ですね」
「ああ、榎本さん頑張って」
ゲームは均衡し続け最後の一投まで進んだ。
点差は榎本がスペア以上なら俺たちの勝ち、それ未満なら負けだ。
既に一投目で右側の6本を倒している。
緊張感あふれる張り詰めた空気の中、榎本が投げる────
ボールはカーブしながらレーンの左側に吸い込まれ4本とも倒した。
「や、やりました!小泉さん!」
「すごいよ榎本さん!」
おもわずハイタッチをする。
すごく嬉しそうで満面の笑顔なのでめっちゃ可愛いしドキっとしてしまうのは仕方のないことだろう。
男子高校生に超絶美少女の満面の笑顔はもはや凶器だろ?
そのあと我に返り赤くなって恥ずかしそうにした姿は破壊力抜群で直視できなかった。
2ゲームを終えた俺たちはその辺のファミレスに移動し俺と榎本は昼食を奢っていただいた。
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