遊び!……の前に勉強会
気づけばあっという間に迎えたゴールデンウィーク初日。
なぜかゴールデンウィークをどうやって遊ぶか話していたはずなのに真面目な榎本とクラス委員の長谷川が宿題を終わらせるために勉強会をやろうと言い出し更には俺の家でやることになった。
それが今日である。
でも早めに宿題を終わらせたほうが連休を楽しめるだろうから今回の勉強会は俺としても歓迎である。
榎本と長谷川は俺の家を知らないため優と集合してから三人で来るらしい。
「今日の勉強会は女の子達も来るんでしょ?達也が女の子を家に連れて来るなんて感動しちゃうわ〜」
楽しそうに俺のことをからかってくるのは俺の母さん。
優しいし良い母さんなんだがめちゃくちゃからかってくるのは正直面倒くさい。
俺も一応思春期男子なんだからそう思うのも仕方ない……よな?
「母さん……余計なことはしたり言わないでくれよ?」
「ふふふ、わかってるわよ。張り切ってたくさんお菓子買ってきちゃった」
「それはありがたいけど、一応勉強会だからね」
我が家は父さん、母さん、姉さん、俺の四人家族である。
母さんは今日仕事が休みで父さんは仕事、姉さんは朝からどこかに出かけていったので今家に俺と母さんしかいない。
ピンポーン
「あら、来たみたいね」
「出てくるよ」
あまり待たせても悪いのですぐに玄関に鍵を開けに行く。
「お、よう達也」
「こんにちは〜小泉くん!」
「こんにちは」
「よく来たね。とりあえず家に上がってゆっくりしてくれ」
とりあえず三人とも家に上がってもらう。
リビングに移動し勉強道具を机に取り出し全員席につく。
さあ宿題を始めようかってときに母さんがお菓子と飲み物を持ってやってきた。
「優くん久しぶりね〜なんか前見たときより大きくなってる気がするわ」
「あ、おばさんお久しぶりです。身長は確かに伸びたんですけどまだ達也に勝てないんですよね〜」
優の家族と俺の家族は仲が良いため優と俺の母さんは知り合いである。
俺も優の家族とばったり会ったときとか今でも色々話させてもらってるし昔は俺も優の家に何回も遊びに行かせてもらった。
「あらあら可愛い子たちじゃない〜」
いつの間にか母さんは榎本達を標的にしていた。
本当に余計なことは言わないで欲しい。
「小泉さんのクラスメイトの長谷川仁美です。今日はお邪魔させていただきありがとうございます」
「同じくクラスメイトの榎本綾香です。本日はありがとうございます」
「いいのよ〜達也が女の子を家に連れてくるなんて初めてだから私も嬉しいの」
するとその母さんの言葉に二人は少し驚いた様子を見せた。
「そうなんですか?」
「小泉くんは学校ですごいモテモテなので誰かしら連れてきたことあるのかと思ってました」
「この子がヘタレなのか知らないけど多分恋人できたこと無いのよ。それどころか女友達も怪しいところじゃない?」
う……事実だけど俺の名誉が貶められていく……
確かに女友達は誰?って聞かれたら長谷川と榎本くらいしか答えられないかもしれない。
向こうはどう思ってるか知らないけど。
「で、二人は達也のことどう思う?親バカかもしれないけど達也は結構優良物件だと思うのよ。良かったらもらってくれない?」
「えっと……」
「……」
「母さんそのへんにしとけ。二人とも困ってるだろ?」
「ごめんなさいね。私は2階にいるから何かあったら呼んでね〜じゃあ勉強頑張って」
そう言って母さんは2階に消えていく。
全く母さんは……
「すまん二人とも。母さんが迷惑をかけた」
「全然大丈夫だよ〜」
「私も問題ありません」
「あはは、おばさんも相変わらずだったな〜」
「本当にごめん。じゃあちょっと遅れちゃったけど宿題始めようか?」
早速みんなで宿題を始める。
分からない所は教え合おうという方針だったのだが……俺も榎本も長谷川もテストは大体一桁台の順位のため正直ほとんど聞くことがない。
優も学年上位であるためたまに質問するくらいでスルスル解いていく。
結果想定よりも早くゴールデンウィークの宿題が終わってしまった。
「いや〜終わったね!」
「三人とも解くの早すぎでしょ……でもこれで連休が楽しめる……!」
余った時間は明日遊ぶ話題で盛り上がり榎本も笑っていて少しくらいは楽しみにしているのが分かって凄く嬉しかった。
自然な笑顔にちょっとドキッとしてしまったのは秘密だ。
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