ショッピングモールでの出来事
俺が榎本にバッサリ切られてから数日が経ち特に進展もなく週末を迎えた。
ガツガツ行くなって言われてるし進展が無いのも仕方ない……よな?
そんな訳でデートの約束なんて取り付けられるはずもなく今日は優が服を買いたいと言うので一緒にショッピングモールに来ている。
「いやー今日は悪いな。二年生になったことだし新しい服を少し買いたくてさ」
「いや、別にいいよ。屋上に付き合ってもらった件もあるし今日は俺も暇だったからな」
早速服屋に行って優が服を選ぶのに付き合う。
男のファッションショーなんて見てても楽しくないがそれもまた友達付き合いだ。
俺も服を買おうか迷ったけど今は別に欲しい服もないし今回はやめておいた。
「付き合ってくれてありがとな。おかげで欲しい服が買えたよ」
「そりゃあなによりだ。もうそろそろ良い時間だし飯でも食いに行くか?」
「今は……11時半か。じゃあフードコートにでも行こう」
そうと決まれば早速フードコートだ。
今日は何を食おうかな。
前はハンバーガーだったから今日はラーメンにでもしようかな。
俺がぼーっとそんな事を考えながら歩いていると優がふとあることに気づく。
「なぁ達也。もしかしてあれって長谷川さんと榎本さんじゃないか?」
「え?」
優に教えられたほうを見ると同じ階の吹き抜けを挟んだ先に黒髪と茶髪の高校生くらいの二人組がいた。
確かに後ろ姿が長谷川と榎本にそっくりだ。
「どうする優?助けに行くか?」
俺が助けに行くかと優に聞いたのは他でもなく2人が知らない男性と話していたからだ。
「いや、もしかしたら知り合いかもしれないし違うと信じたいがパ●活かもしれない。放って置く訳にもいかないし気づかれないように近づいて少し様子を見よう」
本当にこいつは女性が絡むと役に立つ。
いやそれ以外にも優は優秀な部分は多いんだけどな?
俺達は話が聞こえるギリギリの距離までこっそり近づく。
顔を確認するがやっぱり榎本と長谷川だった。
長谷川が男性二人の相手をし榎本は少し長谷川の後ろに隠れている。
「だから俺達と一緒に遊ぼって言ってんの。お金は俺達が持つからさ〜」
「二人共本当にかわいいよね〜」
「…………」
「はいはいありがとうございます。私達忙しいので遊ぶのは遠慮させて下さい。それでは失礼しますね」
「まぁまぁちょっと待って」
長谷川が適当にあしらって去ろうとするが男性達はしつこく話しかけている。
俺は優とアイコンタクトを交わし手助けに行く。
「すみません。俺達の連れに何か用ですか?ごめん、綾香、仁美、待った?」
「遅れちゃってごめんよ〜そんな訳で二人は俺達の連れなのでここは引き下がってくださいね?」
「え!?小泉くんに……服部くん!?なんで……?」
優がこっそり口に人差し指を当て長谷川にサインを送る。
どうやら伝わったようで長谷川は口を閉じる。
「は……?お前達が連れ?スカした顔しやがって!俺達はお前らみたいな自分は特別だと思ってる奴らが嫌いなんだよ!」
「あはは、ごめんね?俺達かっこよくて」
優がナンパ男達に挑発する。
わざわざ怒らせなくてもいいのに……
「舐めやがって!調子に乗るな!」
「ふざけたこと言ってんじゃねえぞ!」
男達が俺達に掴みかかってくる。
さっと避けて男達の腕を固定して無力化する。
「あはは、これでも合気道道場の息子だからね〜」
そう優の家は合気道道場なのだ。
俺もその影響で昔から合気道をやっているためこれくらいは造作もない。
「おい!離せ!」
「はぁ……もう大人しくしとけ。もっと締め上げるぞ?」
その後結構な騒ぎになってしまったのですぐに警備員さんが来たので引き渡した。
暴力沙汰になったが一応(挑発はしたが)向こうから襲ってきたので正当防衛ということで俺達は大したお咎めは無かった。
……挑発の件は若干釘を刺されたが。
「いやー解決解決〜」
「何が解決だ。挑発する必要なかっただろ?おかげで俺まで怒られたじゃねえか」
余計な運動と説教を食らったせいで腹が減ったな……
「ありがとね!服部くん!小泉くん!」
「あ、ありがとうございました……」
それにしても(俺達は)誰も怪我人が出なくてよかった。
てか改めて見たけど二人共私服似合ってるな〜
榎本はThe清楚って感じの白い服を着ていて長谷川は明るくてけど派手すぎない明るい茶色の服を着ている。
「いやいや大丈夫だよ〜それにしても奇遇だね?こんなところで会うなんて」
「ちょっと買い物に来てたんだけど見ての通りナンパに絡まれちゃって困ってたから本当に助かったよ〜」
長谷川達も買い物に来たみたいだ。
まぁ用もなくショッピングモールになんて来ないけど。
「あんまり長谷川さん達の邪魔をするのも良くない。優、飯食いに行こうぜ」
正直学校外で会えたからせっかくだし榎本と話したかったけどガツガツ行くなって言われ ちゃってるしな。
「小泉くん達お昼ご飯?私達もお腹空いてきたからせっかく会ったんだし四人で食べない?」
え…………?
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