神話
第22話 蘭鳳神と葵龍神の神話
東の海に浮かぶ潤った島には、陽明国という国があった。
この国には、昼と光の神『
蘭鳳神は炎をまとう鳳凰の姿をしており、葵龍神は羽と水かきをもつ龍の姿をしている。
この二柱の神に陽明国は昼も夜も守られていた。
しかし、その神々を怒らせると、国が亡ぶほどの災厄、火災や日照り、洪水や豪雨をもたらすともいわれていた。
ある日、愚かな人間たちが蘭鳳神の神殿を荒らした。怒った蘭鳳神は人間に天罰を下す為に、幾日も大地を陽の光で焼いた。カラカラになってひび割れた地面は砂がまきあがり、雑草さえ枯れはててしまう。食べ物はもちろん、水さえ飲むことができなくなった人々は、大勢が餓えて死んだのだ。
それを見かねた葵龍神は、右手に握る『
人々は久しぶりの滋雨に歓喜し、喉を潤したのだった。
これを知った蘭鳳神は、葵龍神のしたことが面白くなく、部下に命じて葵龍神が寝ている隙に『如意宝珠』を奪った。
如意宝珠を手にした蘭鳳神は、さらなる雨を降らせて、今度は大地を水浸しにしてしまう。
大きな神々の怒りを知った人間の王は、謝罪のために神職につく神子を生贄に差し出すことにした。
生贄の条件は、五体満足で健康で明るい生娘。
まだまだこれからの可愛らしい少女だ。
日照りと豪雨に苦しめられた人々は、生贄である少女にすべてを託して、滝から落として、湖に沈めた。
すると、災厄はぴたりと止まったのだ。
人々は神々の怒りがやわらいで、許してくれたのだと感じた。
この事から、この陽明国ではむかし天変地異があると、少女を神々の生贄として差し出すという風習があった。
今はすでにすたれてしまった風習で、神話として語り継がれた物語である。
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