汚物となりて果てたものたち

清浄魔法とエアカーテン魔法で全然快適ではあるが、視覚的にはそれなりに不快だった。


下の方はほとんどホネばっかだけど、なんせ上の腐った肉とかがひたすら下に流れ込むものだからまじどーしょーもない腐肉祭りといった風勢だ。


「誰か生きてなーい?」


とりあえず声をかけるも、まぁいねーよなと汚物山を周回し、わりとフレッシュなものを集める。


うーん、この女の子以外はいらんな・・・


「あなたにリザリザ~」


ほっぺーん♪と管楽器の音と共に長衣の女の子がほわんと浮き上がり、立つ。


「・・・は、え・・・生きてる?ロディロイドくんマイキーミハイルきゅん!どこ?!」


ん?目が見えないんか??

女の子は両手フリフリしながらこっちへ進んでくる。

あぶねーな・・・


「ちょっとあんた、見えないの?」


「ひいっ!」


こけたw


「ダレ?!みんな何処・・・・・臭っ!」


ああ、あたしの森臭シールドから出たのか。

近づいて悪臭を遠ざけてやる。


「は・・・ニガえぐいけど、落ち着くかおりが・・・」


「目を治すから、動かないでね?」


「え?」


・・・ん?

別に目も脳も可怪しいトコ無いぞ??


女の子の目の前でハナクソをほじってみる。


反応なし。


とったハナクソを近づける。


・・・無反応だな。


そのまま額にくっつけると、悲鳴を上げて後退った。


「あんた、べつに悪いトコないわよ?見えない振りとかじゃないの?」


「・・・でも、真っ暗で・・・」


腕を胸に寄せて震えながら握りしめてる。


・・・かわいいw


暗い赤のコーデにピンクの髪色が映えててなんかのマスコットみたい。

垢と埃の黒茶灰色冒険野郎どもを見続けた所為ですんごい新鮮な気持ちだ。


「染めてるの?ピンクのヘアカラーてこっちにもあるんだ」


「え?あたし、髪は青っぽいラベンダーだけど・・・」


なんか濡れてる・・・やだ、血が付いちゃったのかしら、などとよせばいいのに匂いを嗅いで盛大に咽ている。


腐肉汁の上寝かしちゃったからな・・・


「キレイになれ~」


ぱたぱたぱた・・・


「うう、数か月洗ってない下の匂いが・・・って、あれ?サラサラになってる」


そこまで臭くなんのか・・・異世界あるあるよね、きっと。


「ああ、きれいきれいま・・・浄化の魔法よ。教えてあげたいけど、目が・・・」


ん?奇麗にしたのにピンクのままじゃん。

暗いせいか?


「ちょっと火花立てるから、なんとなく目あけててね」


細剣を抜いて石っぽい壁に突きこむ。

するっ、とまるで豆腐を刺したように何の抵抗も無く埋まってしまう・・・


手近の死体からナイフっぽいのを抜く・・・でけえwww

オトコの腰にあると小さく見えんのにいざ抜いてみると最早剣では?てくらいに厚くて長くて・・・軽い。


これでガリっ、とやれば火花飛ぶでしょー、と叩くように振るとめたくそフラッシュ炊かれたように光が飛んだ。


ちな、やっぱ抵抗は無い。


「マブシッ!」


「ひっ!」


おっ、反応あんじゃん。


「見えた?」


「・・・一瞬スゴイ美女が・・・天使様?」


あたし死んだの?ここは天国??

などとうれしい妄想を口走ってくれる。


「へー、ここにも天使とか天国て宗教あんだ」


「うん、光の女神。スオラ様だよ・・・あ、明かりの魔法使えるのわすれてた」


光の女神よ、その恩寵を僅かばかり我が杖に灯したまえ云々、などと呪文を詠唱し空手を宙へとかざす女の子。


「・・・杖が無い!」


あれかな・・・落ちてる杖を拾いキレイキレイ魔法で洗浄して差し出す。


「はい」


「・・・・・えっ?」


あ、見えないんだよな。

めんどくせええええ!!!!!


杖の先端の大仰な飾りの真ん中についてるガラス玉を光らせる。


「マブシッ!」


「ひゃっ!」


「ギョアアアアア!!!!!!!!」


ん?


なんか通路一杯に黒いハゲ男の上半身が広がっている。

でかぁ・・・


「ああああああ!!!!!グレートデイモス!!!」


「えっ!?悪魔??!!ハ〇なのに?!?!?!??!」


うげー!男子系虚構世界かよここは!!!!!

しかも英語!!!


あたしの体より大きな禿頭とくとうの二対の赤い目が妖しく燃えるように光っている。



つーかデカすぎてわからんかったけど、ほふく(漢字が解からない)してんのかw

若い頃天井の通気口?から突然出てきたイケメン作業員()さん思い出して吹いたww


おもろーwwwと笑ってる内に掴み上げられ、がりっ☆とやられる。


んで折れた牙(犬歯?)、吹き出した体液に塗れたまま絶叫とともに投げられた。



一話のゴリラ(仮)んときと同じじゃん・・・ゲッ!!!


ぬべちょん、とした汚物の山に叩き落とされた。




・・・このガキ・・・

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