妖精伝説からの生還
「戻ったか。遅い・・・なんだそれは。何を被っている」
森の奥、古エルフ遺跡への橋頭保を確保すべく先行している私のパーティへ昨日の前衛が日が昇るころ、ようやく戻ってきた。
「すまねえ、妖精に化かされちまって・・・ん?」
パーソは自分の頭を探ると、被り物に気づいたのか漸くソレをはぎとり、見る。
「こりゃ・・・夢じゃなかったのか」
呆けた様に白い布を見るパーソに、女魔術師のカーテが近づく。
「なんか小綺麗になってるねあんた。なんだいその布、鼻と口を守るマスクかい?」
「・・・え?ああ、なるほど」
そう頷くとパーソは自分の顔に装着し、深呼吸した。
「・・・・・フオォオオオオオオ!!!!!!!!!!」
奇声を上げるパーソにイラつく。
「おい、報告をしろ!なにがあったのだ」
パーソは被り物を取ると、気まずげに頭を掻き掻き、話し始めた。
・
・
・
「・・・なるほど、ハイエルフか」
「その・・・信じるんですかい?てめえで言っておいてナンですが・・・」
エルフの種族との遭遇は想定内だ。
「被り物を残したのであろう。で、あれば証拠は充分ではないか」
「はぁ・・・」
「その被り物をハイエルフの特徴とするよう、軍で共有しよう」
特異な見た目で判断可能ならば、たとえ10万の軍においても末端の兵まで周知することは容易であろう。
「いや、それが・・・コレは被り物じゃあ無いんで」
気まずげにパーソが続ける。
要領を得ない説明に苛立ちが募る。
「ではなんなのだ。ハンカチか?ナプキンか?まさか軍旗などと言うまいな」
軍団なればやっかいだ。
こちらの作戦の全面的な見直しを迫られる。
「あーっと・・・股につけてやした」
「ええ?。。。さっき被って奇声あげたのって・・・」
「変態か」
「うわ、不潔」
三人の女性隊員が冷ややかな蔑視を送る。
私はうなだれたパーソに歩み寄る。
「パーソ」
「はあ・・・」
「キサマ、貴きたる身分に興味はないか?」
「へえっ?!」
「・・・キサマには資質がある。まだ朝ではあるが、今宵は語り明かそうぞ」
下賎な者の中にも、光り輝く原石はあるものよ。
フフ、森臭い任務とうんざりであったが、よい拾い物をしたかもしれぬ・・・
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おパンティーを軍旗と誤解するネタってどっかで見たんですが思い出せない
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