第14話 生きづらさを抱え込むことで1人になろうとした。

『僕が宇治峰さんをみる限りADHDが入ったASD強めなタイプかなって思うんだ。ASDは間違いなく入ってると思うよ』

病院の先生は断言するように言った。

お母さんも納得するような形で先生の言葉にうなづいていた。

僕だけが納得できなかった。

病院の先生は僕を見て言った。

『来週も来てくれるかな。話しておきたいことととかを話してくれたら構わないから』

僕には1回病院に来ただけで良かったのに、また来るのかと思うとしんどいと思った。

帰りに母はマクドナルドに寄ってくれた。

時間的には朝方だったから、朝マックだった。

だから、いつものポテトもかじりつくタイプのポテトだった。

お母さんはコーヒーを飲みながら涙を隠すように終始笑っていた。

僕は沈黙が嫌になり口を開いた。

『母さん、病院に一緒に来てくれてありがとう。本当は行こうと思うたびに勇気が出なくて、本当は苦しくてでも....で.....も』

僕は涙を堪えようとも堪えきれずに言葉さえ詰まらさせて、嗚咽と共に鼻水が出た。

そんな姿にお母さんは『ごめんね。お母さんがちゃんとわかってたら良かったね。和馬はずっと悩んでたんだね。色んなこと。もう、全部吐き出して良いんだよ。学校だって行かなくたって良い。辞めたって良いんだよ。もう和馬の好きなようにしていいから。だから、生きててほしい』


朝方のマック。

食べかけのポテト。

涙は全部吸い取られるようにハンカチに染み込んだ。

その日のマックが1番僕にとってお母さんと仲直りできたマックだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る