第12話 安心安全な場所を求めることは病気ですか?

僕は家から出ない生活をし始めてから、外という場所がとても怖く感じるようになった。

ひとつひとつのことで過敏になり、安心で安全な場所である認識を保つことが毎日やるべきことのひとつになった。

きっとお医者さんは不安なんだねって言ったり、母さんは『まあ、いっか』の精神でいた方がいいとか呑気に言うんだろうな。

でも、僕にとって呑気は僕の気持ちを汲み取ることのない能天気でしかない。


今の僕はきっと病気さ。周りから見たらね。


でも、外に出る勇気はまだないし、買い物に行く元気もない。

時々電話をくれるミサトとの会話くらいが安心安全を維持できる縁みたいなものだ。


それがなければ、部屋にいる安心安全は保てないだろう。


僕はそろそろ病院に行った方がいいのかもしれない。

でも、母さんになんて言えば良い?

『病気かもしれないから、病院に行きたい』なんて僕にはそんな勇気持てないよ。

でも、まだ高校生。

病院に行くにしても親がいないと無理かもしれない。

僕は今まで自分のことを普通じゃないと思って生きてきた。

でも、周りは変だけど普通だと言う。

変だけど普通の人はたくさんいると思う。

だけど、僕は生きてるだけで普通と合わせることのできないことがいっぱいある。

普通の人のように話してても人に嫌われることだってある。

空気も読めない、異様なまでに耳の聞こえが良い、見たものを全て覚えることができる、人との会話が苦手で目を合わせるのが難しい。

他にもいろんなことがあるけれど、周りはそれをひとまとめにして【性格だから、直るよ】と言う。


でも、どんなに時間をかけて本を読んで行いを習得しても治らないんだ。

性格ならどう直したら普通になれるんですか?


僕は限界だから、そろそろ母さんに病院のことを相談しようと思う。

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