#12 人狼が神と交流し始め

「やあやあ、坊や来たんだ。心配そう……何があったの?」

「愛ちゃんは容疑者にされた」

今日の出来事を簡単に説明した。

愛ちゃんが第二の異能を獲得したことから始まり、羽衣は彼女に深刻な疑いを抱いていた。

【幸い明日には無限EDモードに再突入することができるので、処理方法は簡単になるだろう……明日、羽衣を呼んで、彼女の前で愛ちゃんにキスしてださい。これでいいじゃない?】

「言うことは簡単だね。」

【何年も幼馴染だったのに、キスしてもいいじゃん。ああ、わかったよ、きっとまたキスが病原菌を運ぶって言うでしょう。しかし、坊やの体はその巫女にコントロールされて、愛ちゃんとよだれを交換したことがあるでしょう】

「よだれ交換とは何の言葉。」

【ていうか、お前らは食べ物にも茶碗を一つ共用するんだろ?全然気にしなくていいよ。】

どうしてそれを知ってるの?この部分の情報は俺が言ってないんだけど。

「できないことは、どんなにそそのかされても始まらないぞ」

【これでも男の人なの?男はチャンスがあれば得をしようとする生き物でしょう】

「男性かどうか関係あるのか!?それ、偏見だ!」

【坊やが普通に恋愛する必要がある世界にいたら、一生ひとりぼっちになっちゃうかもしれないよね?いつもこれじゃ絶対に絶後になるよ。ええ~……突然この世界が浄化された理由がわかっちゃったよ】

「浮気して別の家族を作った父に復讐するためで、さらにこの世界が浄化されなければならないからだ」

【はいはいはい、君の言うとおり言うとおり】

「張本人の一人であるお前がなぜ他人事のように言うのか。でもこれ以上気になるのは、なんで俺を助けてくれたのかっていうことだよ」

【君が気になるから。ちなみにあなたがボタンを押すように見える人に一番似ているから】

「自分で押せないかな?」

【できないんだよ~】

「分かった。で、もう一つ問題があるんだ。この島に他の使徒がいるかどうかを知る方法ってある? 」

他の使徒を見つけることが、問題解決のカギなんだ。

【簡単な話だ、ある使徒の持鈕人の身分を認定し、彼女のしたことを容認するようなふりをする。彼がその人を殺すのを待ってて。で、ここで過去に戻れば、使徒が誰かわかるでしょう】

「俺羽衣を裏切るつもりなのか、愛ちゃんなのか」

【この前さ、愛ちゃんって天然ボケって言ったらキミが怒ってたのね……だったら排除法で羽衣しか残らないよ】

「できれば誰も傷つけたくないけど」

…………

……

目が覚めると、回復した愛ちゃんが部屋の中で鏡に向かって毛づくろいをしていた。

時間はまだ6時にならない。

「うう……この髪はいつも私に敵対している!抜くしかないんだ!」

頭のてっぺんの、立っている髪の毛を抜くと言っていても、なかなか葉わないんだ。

「このアホ毛、結構可愛いだけどね。それにこれも1本じゃなくて、ちょっとした束だよ。抜いたら禿げちゃうかもしれないぞ」

「でももみあげと耳の上にも2本がいつも私と対立してんだよ」

「羽みたいに可愛いよ。全部抜くわけがないでしょう」

「ふふ、褒められちゃった」

口が上手ではないけど、マジでそう思ってるんだ。

「それに抜いて禿げたのならともかく、このアホ毛は脳みそに繋がってるかも。やっぱアホ力は脳から出発するから、引っ張ると脳みそが出てくるんだよ。」

「何が出てだよ、ここまで言ったのは私がボケてるって言いたかっただけじゃん。さっき褒めたばかりだけどな。取り消すよ!」

「きっと脳みそを抜いてしまうよ……その場面は実に壮観で、まず夢の目を押さえてから抜いても遅くない。ゆっくり抜いて」

「えっ、言うとおりに想像しちゃうなんて、怖いよね。急に頭が痛くなったのはどういうことかな?」

頭のてっぺんの髪の毛をもんで、ちゃんとくっついてるか確認してか?

「でも、側面のボケ毛もなんとかなるし、水をつけておけば抑えられるでしょう」

「清水を使ってみたが無駄だった」

「介護液を買ったら?」

「それ、変な匂いだよね。天然の香りが好きなんだ」

天然なのもあるけど。

手のひらでよだれを舐めて、彼女の頭につけた。

ほら、やっぱり抑えたでしょう。

「えっ、汚い。所属物をマークしてるの?自分の匂いを残して?」

「なんで汚いと思うんだ。性別意識がなくなったんだろう?」

「性別意識なくても汚いと思うんだよ」

「それもそうだね」

「たまには突拍子もないことをやっちゃうんだよ、駿って」

確かに、昨夜は関係が近くなった。ちょっと調子に乗って、ごめん。

「ごめん」

「罰として、昨夜着替えたものを全部洗ってくれ!手で洗ったんだよ!」

「洗濯したくないだけでしょ……」

「えへへ」

分かった、分かった、やりますから。

今は家の外の芝生に来た。ここの芝生は外の砂浜と直接つながっていて、ドアの前の砂浜を自分ちのプライベートビーチみたいに使えるんだ。朝の日差しでキラキラしてて、マイナスイオン感じる海風が気持ちいいよ。

ご紹介したように、この別荘は、実は俺が勝手に二度、時間遡行秘法を使って、借金し、株で手に入れたんだ。正当なルートとはいえないけどな。

また、このフル賢者モデルのおかげで、サラン島内の様々な住宅価格が断崖的に下落した。資産を持つ上層部には苦労したが、若者には簡単に居場所を得ることができた。

「それにしても、ここは塩の含有量が多すぎる」

服にはどうしても塩漬けのにおいがするので、ビニールハウスのようなカバーで覆わなければならない。

これにより、家族の洗濯物がくっついて干されることになった。特に家にお客さんが来ると、愛ちゃんの洗濯物は余ることが多いように見える。

しかし、まだ方法があるよ。【フラッシュ】を使って衣類の中の水分を移動させて、洗濯乾燥した衣類から直接水を析出させるんだ!

「やってみよう」

糸のように滑らかな布地の表面に手を置き、そして——

水分の感覚を想像して、水分子をすべて生地から析出させよう!そして転送!

ガチャガチャ……水が地面に落ちる音が聞こえた。

成功したか。

いいえ。硫酸をかけたように、焼き干しの紙切れのようになった。

黒炭片。

しまったしまった。愛ちゃんにどう説明すればいいのか、彼女に一番着心地のいいこの三角形のものをコークスにしたのか?まあ、ゴミ箱に捨てといて。後で弁償してやるか。

ゴミ回収所に向かう途中、遠くに人影が見えた。

その影がこちらを監視しているのは明らかだ。彼は俺の家の方に向かって長い間立ち止まっていた、また俺に気づかれた瞬間に背を向けてゆっくりと歩いて行った——まるで何もなかったかのようだ。

俺は追いつくことにしたけど、彼は明らかに俺の動きを感じ取ってスピードアップした。しかし、彼自身も知っているかもしれないが、走っても「フラッシュ」の異能を持つ俺を早く渡ることができる人はいない。

「先輩?」

「はい、私です」

こんな答えはあるのか。私は朴信義?もう一回自分の身元を確認しなきゃいけない?

俺はすぐに目の前のこの人が羽衣制御の朴先輩だって気付いたんだ。明らかに喧嘩して仲直りしようとして、それから先輩のフリをしてるんだよ。これがお前だということは誰でも知ってるさ。

「あなたと羽衣の間には誤解があるって知ってるんだ。だから彼女の伝言を手伝うがある。」

他の人の体で伝言するのは本当におかしい。

「私は自分のために伝言する」という意味がある。

「あなたが幼馴染を絶対に信じてるって知ってる。私が羽衣を無条件に信じてるなんだけど、それは立場の問題だから仕方ない。でも、立場が正しいとは限らないって考えたことある?」

「もういいから」

「まだ知らないだけで、彼女が秘密の方法であなたを支配してるかもしれない?彼女は人の思考を変えることができる、あなたのすべての感情、あなたが思っていること、さらにあなたの夢の中の神、すべて彼女が創造した幻かも。あなたの彼女に対する感情はすべて偽物かもしれない。夢の中で生きてるすら可能性もある」

「お前も同じじゃないか。体の中の魂は、その体の持ち主ではないかもしれない」

「私が誰だか知っているようだ」

「俺がコントロールされてないって、あなたもわかると思う。そして俺は愛ちゃんが日曜日に学校に帰った日、境界に凍りついている姿を目撃したことがある」

「凍ってしまったのは見せかけかもしれない」

「演じられるような女の子じゃない」

お前とは違う。

「彼女の能力を知らないと思う」

「俺が言っても、あなたは彼女の言うことを本当だと信じられないでしょう。」

「信じるかどうかは私自分で判断する」

「異能は人を戦闘力を奪う【空】で、秘法は見てる通り他人に自分の意志を押し付けられる【相印】もんだし、宗教は仏教なんだ」

「……も仏教か?」

「何がおかしい?」

私は仏教の使徒だと噓をついたことがあるが、噓をついたことは認めるよ。

「それでは、あなたの秘法は何」相手は質問を続ける。

「言ったでしょ。信じてくれないの?」

「まるで私があなたを信じなきゃいけなかったみたいに。あんたも私の秘法を信じてないだろう」

お互い様だ。

どうやら彼女を引き込もうとしたことが、最初から間違っていたみたいだね。

こいつは誰も信用できない。

いつまでもこのままお互いを疑い続けるしかないんだ。できることは、羽衣の心の中に自分と愛ちゃんが持鈕人の正体を確定させないようにすることだけ。

「でも本当に幼馴染を疑うべきだ。彼女は完全に正直に言ってるわけじゃないんだ。」

「それなら俺は諦める」

裏切られて死んでもいい、

どうでもいいことにされて、

俺は彼女が俺に対して同じように、愛ちゃんを疑わない。

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