第16話 烈火

あっぶなぁ…早速死ぬとこだったよ。ミトラちゃんが崩壊シールドで、ミラちゃんが持ち前の魔力によるトンデモシールドで防御したけど爆弾の衝撃波が少し貫通してきたね…。まぁ許容範囲内かな。そしてエルちゃんの得意なことは…。

遠くで鳴った銃撃音が低く響く。銃弾が風を切る。魔王なら真っ先に私を殺す。そしてあの性格なら

「頭…だよね。」

「ガキィィィン!!!!」

「…はは!読み通り!!催眠術師舐めんなよ!!!」

ミトラちゃんとミラちゃんがビビってる。読みが当たった時が一番楽しいんだよ…ふふ。

「魔王はもう遠くに移動している!追え!遠距離では私達はエルちゃんに絶対勝てない!」

「お…おう!ミラ行くぞ!狙撃とかの一点防御は崩壊の方が得意だ!攻撃は任せた。」

「はい!」

「ポルタ。ミラと私では魔王に勝てないだろう。君を信じてるぞ。」

…頼られてる!?実際死ぬからね。仕方ない。…さて。魔王にはほぼ催眠は効かないだろう。私ができることは…。

「ガロガロガロ…」

戦車が独特の走行音を鳴らしている。エルの魔法核を使えば戦車すらも作れるのか。…それも何機も。

「砲撃は何発も耐えられない!戦車の弱点は視界を確保するための窓の部分だ!!ミラ早く!」

「急かさないでください!そんなところ狙わなくても私の魔力なら…」

分厚い装甲を貫く鈍い音。戦車のエンジン音が一つ消える。

「すごい…。本当に神なんだな。」

「失礼な。」

順調に戦車は破壊していく。騒々しい戦闘に紛れて風切り音がした。

「…な!?」

「ミトラさん!!!」

あぁ…銃弾が頭にあたって弾けるのはどんな感覚なんだい?ミトラ…。

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