第4話 奇跡

「ん…。んぅ?」

朝だ…。うっ…酷い夢を見た気がする…。きっと野宿のせいだ…そうに決まっている。

「おはよう。ミラ、ポルタ…。そうだ貴様がいたな。酷い夢を見た気がするんだが貴様の仕業じゃないだろうな。」

「んー?催眠魔法であういう夢を見せることもできるけど私がたのしめないじゃん。」

「…殺す。」

「朝ご飯ですよ〜。って何やってるんですか。昨日の続きですか?」


「それじゃ。出発するぞ。」

穏やかな朝だ。やはり旅は悪くないな。

「魔王城はあまりに遠いので国々を経由しますよ。今から向かう国は雪がとても降る場所にあります。大陸にある魔力火山から噴出した魔力が風にのって飛んできたものが核となって雪ができているんです。最近は魔力火山の魔力がどこかに漏出してるとか…」

「敵襲だ。ゴチャゴチャ絡み合っているような魔力を感じる…。」

「まずいね。あれ多分奇跡だよ。魔王が手にした神通力。前話したやつ。」

「なんだと…。ん!?魔法だ!すでに攻撃が飛んできている!」

「みなさん固まってください!防御は得意です!」

様々な魔法が飛んでくる。属性さえも混沌としていてところどころ属性同士の拒絶反応で爆発が起きている。ミラがこれだけデカいシールドを展開出来なかったら爆発に巻き込まれてるな。属性同士の拒絶反応…か。私も…。そんなことを考えている場合ではないな。………よし。少し攻撃が緩んできたな。

「…私が突撃する。闇魔法で作ったシールドならある程度耐えられるはずだ。光魔法で身体強化もする。」

「頼んだ!催眠魔法も試してみるよ!」

「私は…」

「ミラはセーフゾーンとしてそこにいてくれ。出来そうだったら少しずつ前進を。」


ふぅー…。集中しろ。シールドに少しでもムラが出来たら死だ。そして身体強化も並行して行うんだ。二つの魔法核を同時に使うのは初めてだけど…やるしかない。

「………よし。行ってくる。」

「死ぬなよ!」

「もちろんだよ。」

一気に走り始めた。相手も恐らく気づいたようだ。攻撃が集中してきている。身体強化もうまく行っている。シールドは…もともとないようなもんだ。やはり爆発が側面で起こるとだいぶキツい。光魔法でもシールドを張ろう…。闇魔法でシールドを作ろうとすると空中に板を作るようになるが光魔法だと身体に纏うようにシールドが張られる。

「…!」

敵本体が見えてきた。

「ヒヒッ!」

笑っている…。危険な性格してるな…。

「…!?」

ヤツの魔法が切り替わった!上から降り注ぐような攻撃から直線で飛ぶ魔法に!まずい!シールドは上にある!初撃は避けられない!

「いった!!!」

右肩がやられた!くそ!私も魔法で!

「ドシュ!」

当たった!でも…。

「まるで効いていないじゃないか!」

くそ!くそ!ミラのところに戻るぞ!


「ミトラさん!!わ…私が治します!」

「はぁ…はぁ…ぐうっ!………はぁ…はぁ…はぁ…。」

「ごめん催眠魔法も効かないや…。催眠魔法は相手の心に隙がないと効かないんだ…。アイツは自分に絶対的な自信があるみたい。」

「はぁ…はぁ…ふざけたヤツだ。ふぅ…だいぶ楽になってきた…。ミラ。ありがとう。」

現状に絶望していると高らかな声が聞こえてきた。

「すごいでしょ!!私の奇跡!!!」

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