第3話 肉が正義な体質

 この世界の甘いものというのは、クッソ甘い。というのがあたしの認識である。

 保存と財力の主張を兼ね備えた甘さは一口で死にそうだ。そうだというのに、あたしにそれを超絶にすすめてくる。

 主にカロリー的な理由で。


 この世界の聖女に相当するものであるあたし。歴代聖女と同じように浄化の旅に出ることなったんだけど……。


 あたしは、ややぽっちゃり系だ。自己認識のぽっちゃりであって、デブではな……いや、うん、現実を見よう。丸いお腹とふにふにの二の腕がある。他の部位についてはそっとしておきたい。

 万年ダイエッターだった。痩せたらかわいいかもと言われた人生だった。

 ところが、である。この世界でのあたしは事情が違った。肉、つけない?と美青年に迫られている。


 え? 肉? と五度くらい聞いた。それというのもあたしの聖女としての力に影響しているらしい。太っているほうが浄化の力が強いようだと。


 ……なんでも初期に食事が合わなくて痩せたのだが、出力がめきめき落ちていったそうだ。落ちていくときにめきめきっていう?と変なところに気が削がれていたのは、現実逃避に違ない。


 太ると強くなる体を得た。うれしくない。普通の食事なら慣れたけど、甘いものがなれない。お砂糖控えめ、素材の味を生かした、素敵な奴がない。

 マカロンですら甘さより素材の味が生きてた。専門店の皆さま、嘗めてました。ごめんなさい。


 はやく日本に帰りたい。就活とかあるけど、それより味覚的にさ……。


「あー、こう簡単にクリームを甘くないもので挟んでるのでいいんだよ……」


 マリトッツオとかさ……。

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