揺籃、砕いて空に臥し

樋上佳作

プロローグ

序言







 生きることに執着がなければ、戦ったりなんかしない。

 恭しく、その身を真っ赤な火にくべる。



 死ぬことに希望があれば、戦ったりなんかしない。

 懇願して、首に銀白のナイフを当てがう。



 生を愛し、死を憎む優しい人は。

 幸運であれば、ゆりかごから棺桶まで。

 安穏を享受するに違いない。



 でも。

 戦う者が不運だって想像するやつは。

 闘争の価値を勝者にしか求められないやつは。



 きっと、流れ出た血でぬかるんだ、泥の汚さだけを見ているのだろう。





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