第15話 滅んだ地球

 多くの隔壁が降りていたが、インディのおかげで開閉可能になり、施設コントロールルームまで辿り着いた。


「ノボルは、神様なのですか? 見た事も無いような鉄だけの通路に、昼間のような明るいランプ。勝手に動く大きい扉。目の前にある、沢山の鏡!」


 コントロールルームの複数のモニターを見て鏡だと思っている様だ。


「鏡ではなく遠くを見るための物だよ。神様ではなくて昔の人なんだ。過去には今より進んだ技術が沢山あったんだよ」


「そうなんですか!」


 目を輝かせて周囲を観察している。


 インディ、発電はどんな感じだ?


【発電機は核融合炉が四機、火力発電が一機ありますが、動くのは核融合炉一機のみで、他は破壊されているか故障しています。その一機も既に燃料棒がわずかで、後200年程しかありません。使用しますか?】


 200年って十分なんだけど……やってください。


【スリープモードから発電を開始します。供給電力は65%まで上昇します】


 目の前のモニターが、施設のあちこちを映し始めた。

 まずは、自分に充電しなくてはいけない。

 どうやっれば、充電出来るんだ?


【コンソール下部の主要電源ケーブルに補助ケーブルがあるので、切断して握れば1年分を48時間程で補充出来ます】


 充電遅! 自分の時代と比べれば、速いのか?

 そもそも、私は何年分を充電可能なんだ?


【最大1年になります】


 1年に一回、ここに来ないといけないのか……

 何か、別の方法はないのか?


【外部からの充電する方法があります】


 どいう事だ?


【上空からエネルギー変換効率が高い電波を照射してそれを受信していれば、永久に活動可能です。現在……検索中……地球の静止衛星軌道上に発電衛星を6機確認……4機は機能が故障しています。2機が正常稼働中。地上に出れば可能になります。実施しますか?】


 是非! 未だに衛星が活動してる事に驚くな。


【軍事用ではない民間であったために、戦争で完全破壊されなかったようです……軍事用の衛星も稼働を2機確認……アクセスしますか?】


 是非!


【……1機はアクセスコードが無いとアクセスが不可能……1機は、アクセス出来ましたが、パスワード認証があり総当たりでアクセスを開始します。突破に82時間ほどかかりそうです】


 お! 入れたらすごいな……


【体内に衛星通信用のモジュールを6時間かけて形成します。今後はここ以外でアクセスが可能になります】


 素晴らしい我が肉体だな。

 施設のログで、地球がどうなったかわかるのかな?


【施設のログと時系列で静止衛星からの画像から推測は可能。西暦2057年に昇が冷凍睡眠実施。 西暦3012年に、世界大戦が発生して、H国が、新型の細菌兵器を使用。世界中にバイオハザードが発生して人類のほとんどが死滅しました。

 西暦3015年に無人の軍事施設で昇の治療が完了。

 施設の機能を利用してサイボーグへ改造。

 西暦3211年にサイボーグとしてノボルが創生完了。

 同年にノボルが全身の機械化を実施しましたが活動エネルギー不足で活動停止……

 西暦12057年に、落雷により活動を再開しました】


 今もバイオハザード中? 機械化して無ければ私も死んでたのかな?


【そうなります。昇の活動停止中にも、大気中に細菌を確認しています。バイオハザードが発生した時期に、細菌に対して抵抗がある人類が0.002%存在していたので、現在の人類は、その子孫だと考えられます】


「ノボルどうしたんですか?」


 モニターを見ながらインディと脳内で会話していて無言だった為に、私を心配してルクが話かけてきた。


「大丈夫、少し考え事をしていた。どうやら呪いは解けたようだよ。ありがとう」


「本当ですか? 見たこともないこの施設は、ノボルの時代の物なのですか?」


「私の時代より更に技術が上がった世界かな? だが、そこでの知識はあるので大丈夫。一旦休憩しましょうか」


 インディ、居住区画は生きているのか?


【仮眠用の場所がありますので案内します】


 ルクと一緒に居住区画に移動した。


用語説明


バイオハザード

遺伝子組み換えなどでつくり出した,本来,自然生態系に存在しない有害なバクテリア等が実験室から漏れて動植物に被害を及ぼすことです。防疫法が確立されていないことが多いため厳重な管理が必要。この世界では、戦争中に意図して敵国に使用したため全世界の蔓延した。


居住区画

人が住むことができるように、構築された区域。最低限の生活用品インフラが存在している。

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