第14話 遺跡内部へ

 馬車が、黒い棒が発掘された古代遺跡に到着した。


「ここが、遺跡の場所です」


 遺跡と言っても、大きな直径500m程の穴が空いていた。

 ルクが、穴を指差している。


「これが遺跡?」


「この穴を降りた所に古代の色々な物があると聞いています」


 覗くと底が見えない。

 インディ、深さわかるか?


【200m先で、電波が反射するのでおよそ200mだと考えられます】


「この棒を取って来た人は、どうやって降りたんだ?」


「奴隷の腰に紐をつけて下ろしたそうです。下には見た事もない物が転がっていたらしいですが、金目の物はなかったという事です。その際に数人が落下してしまったらしく、戻って来ていないです」


 200mのロープを用意しないとダメかな……下には死体が転がっているのか……


【ノボルの能力であれば、剣を穴の外壁に刺して下降して行けば、降りれると思いますが実施しますか?】


 落ちたら怖いな。


【落下しても手か足の一部が破損するだけで、済むと計算できます】


 それしか、方法が無いか……


 ルクをここに置いて行く場合、デシュタールの兵隊が来る可能性もあるので、ルクに水と食料を持たせて予備の剣を渡した後に、私の背中に縛り付ける。


「痛くないか?」


「平気ですが重くありませんか?」


「軽いよ」


 少し恥ずかしい顔をしている。


 両手に剣持って外壁に差し込んでゆっくり右手で剣をめり込ませ、左手の剣を抜き。

 左手で剣をめり込ませ、右手の剣を抜く。

 繰り返し行って1時間程で最下層までたどり着いた。


 背中からルクを降ろした。


「ノボルは、凄い体力ですね。驚きました」


 尊敬の眼差しを受けるが、まぁ私はロボットだからなぁ。


 周囲を見渡すと土に囲まれた穴だが、地面の一部が錆びた金属の様な場所があり、黒い棒と同じケーブルの切れ端が何本かあり、原型をほとんど留めいていないが錆び切った戦車の様な車体が2台あった。


 戦車のような車体を調べると、懐かしい配線や基板が見つかったがビニールやプラスチック以外の部品は、錆びて全て朽ちていた。


【地面の下に空間があるようです】


 地面の一部に見える錆びた金属部分を思いっきり蹴ると、穴が空いて下に通路らしき場所があった。


 高さ2m程の通路だったので、ルクと一緒に通路に降りる。


 外壁も天井も床も錆びて朽ちている。


「真っ暗で何も見えないのですが、ノボルは見えているのですか?」


 はい、暗視装置が付いているので、昼間のように見えています。


 暗くて見えていないルクの手を掴んで一緒に50m程進むと、土砂で埋まって先に進めなくなる。


 仕方がないので、通路の反対側へ進んで行く。


 300m程で、隔壁が降りて行き止まりになってしまった。

 隔壁も錆びているので、蹴ってみるが、厚さが相当あるらしく表面が削れるだけだった。


 インディ、これ開けれるか?


【通路の横に、手動で開けるためのハンドルがあるはずです】


 錆びた通路の壁を探すと、蓋が閉まっている場所があり、パンチで壊すと、中に錆びたハンドルがあった。

 ハンドルを回すと隔壁が、少しづつ上がって行く。


 バキ!


 ハンドルが朽ちて折れてしまた……

 なんとか、隔壁と床の隙間に人が通れそうな隙間ができている。


「通れるかな?」


 体を無理やり隙間に入れるが、本当にギリギリで服が一部破けてしまった。

 ルクは、胸が邪魔で苦戦した様だ。


 中は、完全に真っ暗だが……錆びていない……


【500m範囲内に、通信可能なコンソール端末があります。アクセスしますか?】


 是非してくれ!


【アクセスコンプリート。施設情報が取得できました。軌道エレベータ地上部分の施設であり、エリア67です。発電機能が5パーセントまで低下していますが、核融合炉に新しい燃料棒を入れれば回復します。施設のコントロールルームまで案内いたします】


 通路の天上のライトが、点灯し始める。


「あ!明るい!ランプ?」


 ルクが、天井を見上げて驚いている。


 どうやら運良く、呪いの燃料切れは回避できそうな予感がしてきた。


用語説明


核融合炉

重い原子たるウランやプルトニウムの原子核分裂反応を利用する核分裂炉に対して、軽い原子である水素やヘリウムによる核融合反応を利用してエネルギーを発生させる装置が核融合炉である。核分裂反応のような連鎖反応がなく、暴走が原理的に生じない。

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