第15話 再上映後、役者が揃う
僕の映画の再上映が始まる。
28:10、あのサブリミナル演出が起きた直後、僕は
すると、三紀さんも僕の方を見つめていて目と目が合った。少しゾッとした。その顔は満足気に笑っていた。
2日目の上映会が終わった。教室の電気が点く。
三紀さんは焦りつつも少し満足げに見えるような表情を浮かべ教室から立ち去ろうとした。
その時…
「ちょっと待ってくれ!」
大声を出し、彼を止めたのは一条先輩だった。一条先輩がこんなに大きな声で話すのを聞くのは初めてだった。
「一条?何でここに?お前はこのサークルの幽霊部員だったんじゃ…」
三紀さんが頭に疑問符を浮かべながら、そう聞いた。キョロキョロと僕の席の方も見ている。挙動不審だ。
「お前なんだろ!伊丹君の動画に勝手な演出を加えたのは?」
「何を言ってるんだ?」
三紀さんは前に立ちふさがる一条先輩を振り払い、その場から立ち去ろうとした。
「三紀、お前は真実を知らないといけない!俺も隠していたこと全部話す!」
「だから、何を…」
三紀さんは本名を呼ばれ動揺したのか、さらに挙動不審な動きを始めた。目が泳ぎに泳ぎまくっている。
僕は席から立ち上がり、三紀さんに近づき、真剣な眼差しを浮かべてゆっくりとこう呟いた。
「僕達はもう知ってるんです。あなたがやったことを…」
その時、河合が教室前方のドアから…沢村会長とともに入ってきた…
「お前たち何やってんだ?また帰るの遅くなるだろうが!」
沢村会長は入ってくるなり怒声をあげた…
沢村会長の顔を見るとすぐに三紀さんは俯いて…
教室を照らす蛍光灯はキラキラと明るく、教室全体は光に包まれているにも関わらず、陰鬱な雰囲気が教室には漂い、窒息するぐらい空気が張り詰めているように感じた。
この重い、奇妙な雰囲気に包まれ始めた状態の教室で僕がまず言葉を発した。
「河合、前と後ろの両側のドアの鍵を閉めてきてくれ…」
河合は走って、言われた通り2つのドアの鍵を閉めた。
河合、僕、沢村会長、一条先輩、そして…三紀さん…
今回の事件に関わった役者が全員揃った。自死し不在の山本さんを除き…
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