4.犯人からの置き土産

第8話 犯人からの置き土産

「多分ですけど、何者かが、オンラインストレージサービスにおける先輩のアカウントに不正ログインして、先輩の動画ファイルを編集して、山本さんの写真を入れたんだと思います。そして、その編集した後のファイルを先輩のと同じファイル名を使って上書きした…」

「なんでしち面倒なことを…」

「それはわかりませんね…先輩、先程の容疑者リストの中の誰かに恨まれたりとかは?」

「うーん、それは無いと思うけどな…あれ?ってか、俺のオンラインストレージ上の使用ストレージが増えてるんだが…」

 今朝の使用ストレージの数値は22.9GBだったはずが、今は23.0GBになっていた。

「オンラインストレージ内に犯人からの挑戦状でもれられたのでは?容量的にだいたい写真50枚くらいですね、それぐらいだと」

 僕はオンラインストレージのフォルダ一覧に戻り、最新のフォルダを表示するために”並べ替え”のタブの”日付時刻”と”降順”をクリックした。すると、一番上に知らないフォルダが出てきた。そのフォルダ名は”伊丹君へ”というものだった。僕は恐怖でゾッとして、マウスを持つ手を震わせながらも、フォルダをクリックした。

 そこには、僕の撮った映画のオフショットのあの写真とその他撮った覚えのある別のオフショットの写真…そして…山本さんのあられもない姿が映った写真が数十枚あった…それは…沢村会長と山本さんが交わっている写真だった。

 僕は吐き気をもよおし、立ち上がり、トイレに駆け入った。

「大丈夫ですか?先輩…」

 河合が吐いた直後の僕の肩を寄り添うように優しく触れてそう言った。さすがの河合もこの状況では顔色が悪くなっていた。

「誰が一体こんなことを…」

 と僕は抑揚のこもってない弱々しい声でそう呟いた。


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