第7話 下宿で推理②

「まあ、沢村会長がそういった店を利用するのは良いんですよ。個人の勝手ですし」

 ポテチを頬張りながら、河合かわいがちょっと顔を赤らめながら言う。

「そうだな…」

 河合ののどからゴクリとコーラを飲む音が聞こえる。顔を仰向け、天井に視線をやってクイっとコップを上げて飲む、という酒飲みのサラリーマン顔負けの豪快な飲み方だ。20歳を超えたらこいつは酒豪になるのではないか。

「ぷふぁー…やっぱりポテチとコーラの組み合わせは最高だ。糖分で頭が冴えてきた気がします。よし、謎解きといきますね。それではまず…」

 そう呟き、河合は立ち上がり、僕が動画編集に使っているノートパソコンを持ってきた。棚の上の分かりやすい位置に置いていたから気づいたのだろうが、人の物に勝手に触れることに、こいつは抵抗はないのか?

 河合はパソコンを開き、キーボードをカチャカチャと打ち始めた。そうしたら、河合の目に僕のデスクトップが反射しているのが見えた。おかしい…

「あれ?ロックをかけていたはずだけど…」

「先輩、パスワード簡単すぎますよ。先輩の誕生日の後に先輩の学籍番号打ったら開きました!」

 まあ、恥ずかしい動画とかは無いし、良いか…ここで止めたらこいつが帰るのがますます遅くなるだろうし…

「あれ?先輩の動画が見つからないんですけど…」

「ああ、それは…貸してみて」

 僕は河合の横に座り、マウスをもらい、デスクトップにある雲のアイコンをダブルクリックした。僕は動画をオンラインストレージで保存しているのだ。

「ほらここにあるぞ…」

 僕はオンラインストレージ内の動画のあるフォルダまでたどり着き、河合に動画ファイルを見せた。

「”『殺し屋と死を望む少女』完成版”ってタイトルなんですね。うーんタイトルは前と変わってないんですよね?」

「そうだよ」

「ふーむ。ちょっと、貸してください」

 そう言うと河合は僕の手からマウスを奪い取って、画面上部にある”表示”タブを押して、”大アイコン”表示から”詳細”表示に変えた。

「先輩が動画をDVD-Rに焼いたのっていつですか?」

「最終確認が今日の2時くらいで、その後、作品が完成した安心感からか寝落ちしちゃって今朝5時に飛び起きてしたな…」

「そうですか…じゃあ、やっぱり私の読みが当たってました」

 そう言いながら、河合は動画ファイルの横にある更新日時を指さしていた。

 そこには、"20xx/10/31 4:11"との記載があった。

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