20話 セド・レナードとルナ・マーティン

 第三試験である【討伐試験】を受けている最中に、レオナ・アルフレートと組むこととなり、無事五つの魔法石を手に入れることとなった私とレオナ・アルフレートだったが、森を抜ける途中レオナ・アルフレートの幼馴染であるセド・レナードに勝負を挑まれ、半強制的にセド・レナードと戦闘になったのであった。


「ルナちゃーん頑張って!」


 レオナ・アルフレートは近くの木のそばで待機しながら、私を応援してくれた。いや、助けてくれよ。というのが今のところ私の本音。セド・レナードは砂で出来た杖を構えてるし、何なら攻撃してくるし……。


霜の壁フロスト・ウォール

「防御魔法か。だがたとえ防御魔法だろうが攻撃を受けていれば壊れる」


 確かに。でも、怪我無いようにってルイさん言ってたしな……。下手に攻撃すれば怪我させそうだし。


「ルナちゃん! セドちゃんに攻撃しても大丈夫わよ! 変に考えていてもだめよ!」


 待機しているレオナ・アルフレートから助言を受けた私は、彼? の言葉通りに攻撃することにした。


凍る雨アイスペレット!」


 杖を上に向けるとセド・レナードの上空に大きな魔法陣が出現し、球形の透明な氷が降り注いだ。セド・レナードは防御魔法で自分の身を守りつつ、砂魔法で攻撃。


砂の海サンディ・オブ・ラウト


 セド・レナードが呪文を唱えると、私の周りを砂で覆い拘束してきた。身動きが出来ない。


「所詮この程度か」

「馬鹿ね。まだよッ!」


 私は指をパチンと鳴らすと、凍る雨アイスペレットが私の方に飛んできて、拘束している砂を溶かした。そして、わざと自分のセド・レナードに投げつけ、気を取られている隙に彼に向かって走り、殴りかかったが避けられてしまった。


「殴りに来るとはな」

「フェイクさ」


 そう、これは想定して居た通りのシナリオ。杖を投げたのもね。杖を投げた際、木に刺さるように投げ、そこから魔法人を発動させ、氷の矢アイス・アローをセド・レナードの背後に発射させた。そして、氷の矢アイス・アローは肩と右腰に命中。


「これでチェックメイトよ」


 自分の杖を取り、膝をついたセド・レナードの首元に突き付けた。すると、私たちの勝負を見守っていたレオナ・アルフレートが走ってきて、私に抱き着いてきた。


「おめでと~! 良くセドちゃん相手に勝ったわね!」

「運が良かっただけ。拘束されたときはもう終わりかと諦めてたよ」

「セドちゃん。これでよく分かった?」


 レオナ・アルフレートはセド・レナードにそう言うと、『チッ』と舌打ちが聞こえた。私はセド・レナードの肩に手を当て、治癒魔法をかけた。


「おい、貴様何をしている」

「怪我治してるんだよ。痛かったよね」

「……まぁな。でもこれで分かった。次こそ貴様に勝利する」

「ハイハイ。さてと、セド・レナードだっけ? 魔法石集めたの?」


 私は問いかけると、セド・レナードは頷いた。意外と素直?


「一人でだ。貴様らも集めたんだろう?」

「うん。じゃあ一緒に出ようか!」

「しょうがないな。レオナ手を貸せ」

「我が儘な幼馴染ちゃんなんだから~」


 レオナ・アルフレートは呆れながらも、セド・レナードに手を差し伸べた。


「ルナ・マーティン。俺のことはセドと呼べ。それと、勝負を仕掛けてすまなかったな。第一試験の際気になってしまったから」


 あんな魔力量だとね。普通だとは思えないよ。誤魔化すけど。


「そ、そうなんだ。あっ、私のことはルナって呼んでいいから!」

「あぁ」


 はふと笑みをこぼした。最初は一匹狼だと思ってたけど、素直になれない思春期の男の子なんだと今気づいた。


「もう! アタシのことも名前で呼んでほしいわ!」

「わかった!じゃあ、セドによろしくね!」


 こうして編入試験で友人を二人もできてしまった。そして、森の中を抜けると、一番最初だったらしく、ルイさんとイケオジな男性が立っていた。


「ご無事で何よりです。では三人とも魔法石を見せてください」

「私とレオナは組んで集めました」

「そうでしたか、では改めて、合計五つ。三人合わせて、十。合格です! おめでとうございます」


 ご、合格!? 


「やったぁー!!」


 私は二人に抱き着くと、レオナは頭を撫でてくれた。


「では、合格した者から校長より寮決めをさせていただきます」


 ルイさんはそう言うと、イケオジな男性に目線を向けた。イケオジな男性は笑顔で私たちに話しかけてきた。


「おめでとう。今日から我が校の生徒の証に、寮を決めさせていただこう。私はミステリウム魔法学園の校長である『ブライアン・コルト』。以後よろしく」

「「「よろしくお願いします」」」

「それでは、校長室に向かおうか。最初の合格者にはこうして出向くのが基本なんだ」


 ブライアン校長はそう言いながら、私たちの周りに魔法陣を出現させ、謎の光に包まれたかと思えば、先ほどいた森の外ではなく、どこかの部屋の中に移動していた。


「転移魔法。君らも使えるようになるさ。さて、寮を見極めていこうか」


 第三試験を合格した私とセド・レナードにレオナ・アルフレートは、ブライアン校長に寮決めをしてもらうため、いくつかの質問を受けることとなった。ある意味最終試練とも言える状況の中、私は望んでいるファリス寮に入れるのだろうか。

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