19話 第三試験とマリアンヌ・アイリーンたちとの邂逅

 第一試験と第二試験を何事もなく潜り抜け、第三試験である【討伐試験】を迎えた。【討伐試験】はチームを組んでも良しの自由行動となっている。魔物から稀に出る赤い魔法石を五つ集めれば、即合格で晴れてミステリウム魔法学園の生徒となれる。試験会場は学園内にある森の中。第一試験の際上級魔法を使用し、その上魔力量が高いのをみんなにバレて? しまい、コソコソ話していたり、迷惑そうな目線で見てくるものもいて、正直疲れている(メンタル的に)。まぁいいけどさ。言いたいことあるなら直接言えばいいのにと思っていると、私の前に第一試験の時に私の膝元に座ってきたふわふわ系の女子が花の杖を持って現れた。


「さっきはごめんね~。痛くなかった~?」

「大丈夫だよ! もう眠くないの?」


 彼女はマリアンヌ・アイリーン。キャラメル色の髪色が特徴的な女の子。眠たそうに目を擦り、小さく欠伸をしたところも可愛い。


「眠い……。けど頑張る」

「お互いに頑張ろうね!」

「そうだね~。またね~」


 マリアンヌ・アイリーンは笑顔で手を振って元の位置に戻って行った。


 そして、ルイさんが私たちの前に現れた。


「これより第三試験である【討伐試験】を開始させていただきます。制限時間は三十分。魔法石を五つ獲得したものは森から抜け出してください。それと怪我はないようにお願いしますね。それでは【討伐試験】開始です!」


 ルイさんが声を上げると、みんな一斉に森の中へと駆け込んでいった。私も森の中へ向かうと、最初から五匹のスライムが現れたが、氷魔法をぶちかまし、なんと魔法石が一個スライムから出てきた。


「これが魔法石? 綺麗だな~赤いのに光に当てれば透き通って見える」

「そうよね~だってこのセフラン王国は、魔法石が有名なんだもの」


 背後から優しい声色が聞こえ、振り返るとそこには桃色の髪色が特徴的で魔力量九十五のレオナ・アルフレートがいた。


「レオナ・アルフレート!?」

「こんにちは~。初めましてレオナ・アルフレートだよ。さっき目が合った優等生ちゃんね! 会えてうれしいわ~!」


 お、オネエだった!? 両手を合わせて腰をくねくねさせてるし……。変人しかおらんのかこの世界は!!


「初めまして、ルナ・マーティンです」

「マーティン? もしかして、ルイ教授の子かしら?」

「し、親戚です。あ、あはははは……」


 転生者だというのはバレてはいけない約束だから、ルイさんが考えた親戚という設定でなんと隠さないと。あとから○される! ルイさんに!


「そうなのね! だから魔力量が多いのね! 納得だわ~。そうと決まればアタシと、く・ま・な・い?」


 突然すぎるだろうが! ルイさんが引き金になってるじゃん! どうしろと!? でも考えてみれば、誰かと組んだ方が早い気がする。最初は誰とも組まない(組む人がいない)だったからあれだったけど。制限時間も気にしないといけないから、ここは組むしかない! そう決断した私は彼? の誘いに乗った。


「いいですよ! 私今一つ目なんですけど」

「アタシもよ! これからよろしくねルナちゃん」

「こちらこそ」

「敬語はなしよ? アタシとルナちゃんの仲なんだから」


 いやどんな仲だよ。初対面だよね?


「わ、分かった」

「うんうん! じゃあ、行きましょうか!」


 私は、レオナ・アルフレートと共に行動することとなった。彼? が乙女なのか気になるところだが、今は試験に集中。そのあと、私たちは次々と魔物を倒していき、魔法石を私が三つ、レオナ・アルフレートは二つ手に入れ、合計で五つの魔法石を手に入れた。


「やっと集まったわ~!」

「そうだね!」

「さぁ、森を抜けましょ!」


 私は彼? の後ろをついていくと、その左横から先が尖った砂が飛んできた。すると、砂が飛んできた場所に水の壁が現れ、攻撃を防いでくれた。水で出来た杖を構えているのはレオナ・アルフレート。彼? の固有魔法は水に関するものらしく、今の攻撃もレオナ・アルフレートが防いでくれたものだった。すると、砂が飛んできた方から、黒髪の青年が現れた。


「ッチ」


 青年は攻撃を防がれたことに対し腹が立ったのか、舌打ちをした。


「あら、セドちゃんじゃないの」

「貴様に名を呼ばれる筋合いはない」


 あれ? 知り合いなのか? それにしても、セド・レナードの態度がそっけない気が……。


「この子はセド・レナード。アタシの幼馴染よ?」

「昔のことだ。それよりもルナ・マーティンと言ったな貴様」

「そ、そうですけど。何かありました?」


 私はこの人に何かしたのかと思い、質問を投げるとフンと鼻を鳴らした。


「俺と勝負しろ。どちらが強いのか」

「えっ? 何故?」

「セドちゃんは強い人と戦うのが好きなのよ。悪い子じゃないから勘違いしたら駄目よ?」


 そういうことってあるんだ。でも私が強い? 違うと思うと思いながらも何故か半強制的に、セド・レナードと勝負することになった私だったのであった。

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