18話 編入試験開始

 ミステリウム魔法学園編入試験当日。

 

「人がいっぱいだ~!」


 編入試験の会場となる魔法学園の校内にあるグランドに人が集まっていた。

アノールは在校生であるため、私とは別行動になっている。知り合いがいないのは少し寂しい。今から何するんだろう? 不安だぁー! 心の中で叫んでいると、私たちの目の前にルイさんが現れた。ルイさんはこの学園の教師。たとえ関係者であろうが容赦はないだろう。


「皆さん、ようこそミステリウム魔法学園へ。私はこの学園の魔法学担当である『ルイ・マーティン』と申します。そして、編入試験の試験官でもありますので、色々覚悟しておいてください。さて、自己紹介はここまでとしまして、試験内容を発表いたします」


第一試験【魔力測定】


第二試験【筆記試験】


第三試験【討伐試験】


「第一試験である【魔力測定】はあのゴーレムに攻撃を当てるだけとなっています。合格基準としては、五十以上の魔力量があれば合格とします。第一試験で落ちた場合即退場です。第二試験【筆記試験】は場所を変えて受けてもらいます。合格基準としては、九十点以上となっています。不合格の場合は即退場です。第三試験【討伐試験】は、この学園の奥にある森で手強い魔物を準備させていただいておりますのでその討伐となっております。合格基準としては、魔物を倒した際、赤い魔法石がまれに落としますので、その魔法石を五つ獲得した場合のみ合格とさせていただきます。なお、第三試験ではチームで組んでもらっても構いません。チームで組んだ場合は手持ちを合わせて五つになれば合格です。自由に活動してください。相手から奪うのもありでですが、怪我だけはしないようにお願いいたしますね」


 誰かと組んでもいいんだ……。でも、一人でやった方が手っ取り早いから誘われない以上一人で見つけるか~。


「試験内容は以上となっております。では早速、第一試験【魔力測定】を開始します。名前を呼ばれた方から順番に私の前にきてください」


 こうして、早速第一試験である【魔力測定】が始まってしまった。私は名前を呼ばれるまで、試験者の魔力測定を見ていた。その中でも、三人気になった人がいた。

 

 一人目はセド・レナード。黒髪ロングヘアの美青年! 背も高いし、足もスラッとしている。モデルみたい! 魔力測定ゴーレムの胸元に魔力量の数字が出るんだけど、驚いた。百いってるじゃん! ルイさんも思わず真顔になってたぞ!?


 二人目はレオナ・アルフレート。レオナっていうものだから女の子かなって思ってたら、桃色の胸元まで伸ばした髪を右肩に流し結んだ青年だったわ。白い肌で優しそうな目つきをしている。しかもイケメンだ。この世界にはイケメンしか存在しとるんか!? 神様に直接問い出したいわ! 魔力量は九十五! んで、レオナ・アルフレートが魔力測定を終えた後、目が合って微笑まれながら手を振られたわ! 女子からは嫉妬の目を向けられるし。こりゃ○んだわ。


 三人目はマリアンヌ・アイリーン。この子はふわふわとしたタイプの普通の女の子だ。キャラメル色の髪色でボブヘアが特徴。でもどこか眠たそう……。ルイさんも『試験中なのに眠たそうにしやがって』みたいな黒いオーラを出してるし。


「アイリーンさん、試験中ですよ」


 ルイさんはマリアンヌ・アイリーンに声をかけると、眼を擦りながら花の杖を持ち、ゴーレムに向けて杖を一振りした。すると、ゴーレムは立ったまま寝てしまった。ゴーレムの胸元には百十と魔力量が記載されていた。こわっ! 普通に怖いわ! しかもマリアンヌ・アイリーンはふらふらとなぜか私の前に来て、そのまま私の膝の上に座り寝てしまった。


「な、ななななんんで!?」


 私は思わず声を上げると、ルイさんが走ってきた。


「ルナさん、すみません。アイリーンさんはこちらで預かりますので」

「お、お願いします!」


 私はルイさんに彼女を預けた? するとルイさんが私に耳打ちをしてきた。


『次はルナさんですよね。楽しみにしています』


 それだけを言い、ルイさんはマリアンヌ・アイリーンを抱え、一次試験は中断となった。



 十分後。試験は再開した。そして、ついに私の番になってしまった。


「ルナ・マーティンさん」


 ルイさんに名前を呼ばれ、彼の前に移動した。


「ゴーレムに何か魔法を撃ってください」

「分かりました」


 私はゴーレムと少し離れた場所に立ち、氷に杖を出して氷魔法を撃った。


六花りっか


 雪の結晶がゴーレムの周りに張り付き、ゴーレムは身動きが出来ずにそのまま凍っていった。ルイさんとアランさんから前々から言われていたことがあった。私の魔力量は無限に体に流れている状態。制御するためにはとにかく上級魔法を使用しなければならない。普通の魔法だとそんなに魔力量が減らないからだ。ただ、学園に入ったら、普通の魔法を使うのが基本となる。常に魔力量を制御するために、戦闘時や魔法が使える授業のみ、上級魔法を使用すること。上級魔法を使用する限り、学園内では目立つかもしれないが、それはそれとして。できるだけ魔力を減らしていく。仮に、魔力を制御できるようになるまでの話。授業を受けていけば、コツなどはつかめるらしい。だから今日は敢えて、上級魔法を使用した。ルイさんは知っているせいなのか、めっちゃ笑顔。


「測定の結果は……文句なしの二百ですね。合格です」


 ん? 二百ってありえなくない? 今のところ私が一位なの!? みんな見てくるし怖い! さっきのレオナ・アルフレートなんてにっこにこじゃん! あんたのこと知らんよ? 中身アランさんだったりする?? そうだったら変態じゃん!


「これにて第一試験は終了とさせていただきます。合格者は校内へ」


 こうして私は第一試験を合格を果たし、第二試験である【筆記試験】を受け、百点を取った。『又もや文句なしの合格ですね』とルイさんに言われ、第二試験も無事合格した私は、最終試験である【討伐試験】へと向かうのだった。

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