柔らかく描かれる、凄惨な命の寓話

今際の際。自身の生涯をないまぜの感情と共に矛盾まみれに述懐する男性と、それを受け止めながら…しかし真に理解出来ない死神との対比が素敵でした。

よくよく読まずとも物語の世界に大した救いはなく、描かれる情景は尚の事悲惨。死神と対話する男性の顛末においても、同じく。
それでも尚、読了感に不快が混じらないのは、死神の(恐らくは無知故の)善性故ではないかと。

短くも素敵なお話でした。
次のお話も楽しみにさせていただきます。