可愛くねえ。でも超好き。

Unknown

可愛くねえ。でも超好き。

 あなたは可愛くねえ。でも超好き。天使だ俺の彼女は。お前らも歳を取れば分かるぞ。人間は顔じゃねえっていうのが。顔“だけ”じゃねえと言うのか。


 だがもう別れた。(振られた)


 ちなみに俺の顔はかっこよくない。今、髪がボサボサに伸びていて茶色のメガネをしている。黒の上下のスウェットを着ている。風呂にも何日か入ってないから臭い。俺はクソメガネだ。


 もう彼女に振られてしばらく経つので、元カノのことはあまり考えなくなってきた。


 金属加工の仕事をやめてしばらく経つ。貯金もそろそろ減ってきたから単発バイトでもやります、か──。と思っている。


 いつも書いていることだが、今、俺は朝からアパートで音楽を聴きながら酒を飲んでタバコを吸ってダラダラしている。1月24日に龍が如く8というゲームが発売するのが楽しみだ。俺はしばらく前に予約した。去年から今年にかけて、龍が如くシリーズを遊んでばかりだ。ゲームを楽しめるまで鬱が回復したということでもある。今はゲームがしたくて生きている。


 俺は普通に生きている。たまに余計なことも考える。


 でも自己嫌悪が一周回ると、俺はクズのようにしか生きられないのだからクズでいいと毎回開き直る。そして時間がある程度経つと再び自己嫌悪に陥る。


 彼女に振られて以降の俺は悟りを開いて哲学者になってきている。


 エミール・シオランの哲学書が俺のバイブルだ。シオランは「労働はクソだ」と言ったが、俺も「労働はクソだ」と思っている。そして俺は厭世家であり、たまに死にたくなる。今はそうでもないが、俺は昔はシオランと同様に反出生主義者だった。簡単に言えば「この世に生まれない方が幸せ、生殖は悪」という考えだ。俺も今より病んでいた時期は、生誕こそが災厄だと強く思っていた。


 でも今は全くそう思わない。去年、俺の妹が結婚したが、もし妹が赤ちゃんを産んだとしたら、俺はめちゃくちゃ可愛がると思う。それに、俺と人類は直接的には関係ないのだから、子供が欲しければ自由に子供を作れば良いと思う。俺がそれを批判する権利なんて1ミリもないし、批判しようとも思わない。


 最近俺はユーチューブで哲学系の動画を見漁って、哲学の勉強をしている。勉強というか、内容が普通におもしろい。このまま哲学の世界に傾倒していくと、数年後には哲学者になっているかもしれません。


 俺は実存主義を標榜する哲学者である。


 実存主義とは、19世紀のヨーロッパにおいて誕生した、「生きる道を自分で切り開く、今ここにあるひとりの人間の現実存在(=実存)としての自分のあり方」を求める思想である。


 ◆


 俺は「実存主義の哲学者・Unknown」を名乗っているが、実際のところ、哲学にはほとんど詳しくないし、哲学書はエミール・シオランの本しか読んだことが無い。あとはニーチェの「神は死んだ」という言葉を知っている程度だ。


 なので本当に哲学を勉強している人にとって、ろくに哲学を知らないのに哲学者を勝手に名乗る俺は極めて失礼な存在であると言える。


 しかし俺は仕事をやめて、アパートに引きこもってて暇なので、音楽聴いてタバコを吸いながら、今回は哲学者としての視点の文を書いていこうと思っている。


 哲学の定義はよくわからない。


 だが、俺が哲学だと思って書いた文は、いずれ歴史が哲学として認証するであろう。


 正直俺は哲学について書きたいと思っても何も書けないから、今回は哲学については全く書かない。だが、“哲学について書かないということ自体が哲学である”と俺は思っている。


 ◆


 精神科の先生は俺の診断書に「うつ病」だと書いたけど、果たして本当にそうなのか疑問に思うことがある。ネットで鬱に関して調べると、


 ・悲しい

 ・ゆううつ

 ・落ち込んでいる

 ・何の望みもない

 ・死にたい

 ・悲観的になる

 ・声が小さくなる

 ・動きが遅くなる

 ・口数が減る

 ・強い罪悪感を抱く

 ・過剰に自分を責める


 などの特徴があるけど、俺は鬱と診断される前から、元々こんな感じの暗い性格だったから、もしかすると俺は鬱ではなく、「鬱に限りなく近い性格」というだけなのではないか? と思った。


 俺が知る鬱の人って俺よりもっと辛そうだし。


 俺は鬱だとしてもかなり軽度な方だと思う。


 もしかすると俺は「鬱に限りなく近い性格というだけ」なのではないか? と思う。


 でも精神医学のプロが俺を鬱だと診断したわけだから、俺はそれを信じる。


 医者もよく言っているが、うつがかなり酷い時は死ぬ気力すら湧かない状態だから、実際に行動に移せる時は鬱が回復傾向にあって元気になってきたタイミングらしい。


 俺の鬱がめっちゃ酷かった時は、頭が全く働かず、文字を読むのも書くのも苦痛だった。そして体に色んな症状が現れた。めまい、不眠、倒れたりもした。ブレインフォグが一番の症状だった。頭がぼーっとして何も入らず、簡単なことが何もできない。椅子に座って何度もエヴァンゲリオンの旧劇をぼんやり見ていた。ニュースを見てぼろぼろないた。池袋、母子殺害のあの事件だ。


 あの時は、たしかに死ぬための行動すらできなかった。


 今は割と元気だから、むしろやばいかも、と思う。


 世の中と向き合おうと考えると疲れる。


 情報過多な現代。俺は猫の動画でも見て寝たい。


 ◆


 最後に小中高生で現実に居場所が無くて死にたいと思ってる子供達に、哲学者として伝えたいことがあります。


 それは「大人になったら逃げ道が増えるよ」ということです。


 だから、つらいと思うけど今は何とか生き延びて、大人になってくれ。


 俺も高校時代、野球部でいじめにあった。大切なグローブを壊されたり、先輩から死ねと言われたり、鞄を捨てられたりした。部活を退部してからは不登校にもなった。「日本一暗い高校球児」と部員から揶揄されたこともあった。


 色々あって会社員になってからも死にたくなった。


 実際死のうとしたことも何度もあるし、精神科に入院したことも2回ある。


 でも俺は紆余曲折を経て、今も生きている。


 平日昼間からアパートにこもって音楽を聴きビールを飲みタバコを吸いユーチューブを見てクズみたいに生きてる。


 それでいいんです。


 死ぬくらいだったら酒を飲め。(未成年はノンアルを飲め)


 そう。大人になったら酒で現実逃避できるようになる。それまでなんとか耐えてくれ。なんとか生き延びてくれ。俺は孤独に生きるお前を支持&応援したい。


 いつか一緒に酒を飲もう。




 終わり

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可愛くねえ。でも超好き。 Unknown @unknown_saigo

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