第4話ケイゴ視点の一日目
オリエンテーション初日の放課である。さっきの時間、お嬢と男がやたらと近づいて、モヤモヤしてしまった。次の時間は俺が主導。心を落ち着けたい。
職員室に戻る準備していると、女子生徒軍が話しかけてきた。
「ねぇ、ケイゴ君って呼んでいい?」
茶色のゆる巻き髪で、すっぴんメイク風。しかし目の周りに気合いを感じる。今風に言うと、一軍女子というやつだろうか。
「先生と呼んでくれると嬉しいです。」
取り敢えず笑顔(ポーカーフェイス)で返す。
「えー。うちらのことも呼び捨てでいいからぁ。
あたしはマキね。こっちがユイでこっちがアコ。」
一軍女子たちは大人びていて、色気が漂い始めている。
(誰かさんとは大違いだ。)
そう思ってはにかんでしまう。
「ケイゴくん彼女いるのぉ?」
「「先生」ね。彼女はいませんよ。」
「「は」ってことは、好きな人がいるってこと?」
「えぇ。そうです。とても大切なヒトがいます。」
(彼女を思うと自然にはにかんでしまう。チラッとそっちに視線をやると、隣の男と談笑している。離れろ。)
「あー。ケイゴ先生ニヤけてるー!」
「…先生を揶揄わないで下さいね。」
ケイゴは、はにかんだ顔をすぐにポーカーフェイスに戻して言った。
***
キンコンカンコーン 予鈴が鳴った。
(まじか!職員室戻りたかったのに。俺のお嬢タイムがー!!)
「僕は一瞬職員室に戻るから、君たちも次の準備をしていて下さいね。」
「はーい。」
***
心を落ち着ける間もなく、ニ時間目は始まる。教卓に立って気づいた。
(何だ!あの空気感。仲良さそうな、凄く楽しそうなアレはなんだ!!俺ともあんな風に過ごさないくせに!!何で俺以外にあんな顔すんだよ!)
***
そして、お嬢と話せないまま、一日目が終わってしまった…
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