第14話 盗賊の頭であり恩人


?『ゼイル…またお前は私が予想する範疇に収まらない成果を上げたな』

ゼイル『そうっすね…ボスこれで…』

ボス『だが駄目だ私をそう呼んではいけない』

ボス『私はお前の手を散々汚して来たそんな生き方しか教えてやれていない』

ゼイル『ですが…どうしょうもない俺を助けてくれたこの恩がある』

ボス『恩か…私には似合わないな』

ボス『さっきから下で悲鳴が聞こえるが商品を傷つけて無いだろうな』

?『いえまたガッセルが、八つ当たりを起こしているそうです』

ボス『女にしているのか?』

?『はいそのようです』

ボス『大事な商品だあいつを捕えろもう必要ない』

?『ですが…』

ボス『だからなんだ?』

?『いえ何でも御座いません』

ガッセル『女痛いか?俺はもっと痛いんだよアイツが上げた成果を傷つけたいのに傷つけられない俺の無力さとアイツの顔を見る度に積み重なっていくこの苛立ちに』

女性の顔は大きく腫れていた

?『ガッセル大事な売り物だそれぐらいに』

ガッセル『うるせぇよポイズテメェもアイツの味方か?どいつもこいつも』

ゼイル『そこまでだガッセル』

ガッセル『ああん?何だお前ら離せ俺に触れんな!』

ボス『明日の早朝処刑を行う異論はあるか?』

?『御座いません』

何やら揉め事を起こしている格子に近づきその声を聞いていると、ニイさんに止められる

ここから出る方法を見つけないといけないどうやらあのゼイルという少年魔力を持っているようだったそれもニイさんと同じぐらいの希少属性を持っているかもしれないという

何度目だろうか、こうして囚われの身になったのは、レクサムには沢山迷惑を掛けてしまった

だがこうしているうちにも、何処かに売り払われるかもしれない

盗賊の少年が言っていた「大物」とは…

格子中の灯りが消えて真っ暗になる、私はそんな事を考える内に、眠気に襲われて再び眠りにつく


朝から地下の格子が騒ついていた

あのガッセルという青年の「最後」だからだ多くの盗賊に囲まれて、外に連れて行かれる姿を見ていた

その表情は、何処か寂しく思い残しがあるように曇っていた

あれからどのぐらい時が流れただろうか…

盗賊の1人が昼ご飯を持ってくるまでニイさんとシェルピーと共におしゃべりをしていた

ニイさんは、真剣に辺りを眺め続けながら…

昼ご飯は、これも今までに食べたことがないくらい美味しいものだった

出汁の旨みが口一杯に広がる

ニイさんは、ご飯を食べるときだけ真剣な表情をせずに笑みを浮かべていた

シェルピーには、食べ飽きた表情を浮かべていた流石は王族格子の中でも食べ方には気を使っている

ふと…別の格子の人達を見た

彼ら彼女らは、ただ私達を見ていた

あのガッセルと同じ表情で…

食べている食事は、宿屋で食べているものとは大分違っていた

人が食べるものとは随分違う

私は、食べるのを躊躇った

と共にニイさんが、こう呟く

ニイ『しっかり食べておきましょういつあの子が、来ても逃げ出せるように心配要りませんあの子なら全員助けます』


更に時が流れるすると、ゼイルという盗賊の少年がやってくる

ゼイル『すまねぇなお前らを、引き渡すのはとある貴族の旦那なんだそれも何というかへ…』

するとニイさんが、唐突にゼイルの言葉に割り込む

ニイ『この子達には早すぎますいえ心配要りませんよ絶対此処から出て見せますから…』

ゼイル『うんそうだな…そう来なくちゃ俺の捕まえた獲物じゃねぇ邪魔はしないさ俺は、ボスを救い出すそれが俺の…』

アジト全体が大きく揺れ出す

ゼイル『また随分速いな』

ニイ『そうですね』

?『おいゼイルお前も来いアイツだ』

?『アイツ正面から入って来やがった』

ゼイル『あーあーお前ら魔力も持ってない奴にアイツは止められないでしょ』

ゼイル『ちょっくら行ってくるわそこのちっちゃい奴、頭は護っとけよ』

私はそう言われると両手でシェルピーと共に頭を守った

アジト内に大きな声が響き渡る

まず間違いなくレクサムの声だ

レクサム『俺の仲間が世話掛けたな!テメェらも覚悟は出来てんだろな!』

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