第13話 静かな箱庭で生きる者達


しばらくすると音を聞きつけてレクサムが洞窟を打ち破ってやってくる

レクサム『無事か?パメラ』

パメラ『はいラグスさんのお陰で』

レクサム『そうかすまないな…』

ラグス『人を守るのが役目ですので』

レクサム『ここは危ないここに巣食うウルンズガードンの角は手に入れた依頼主に持って行けば報酬と取り替えてくれる』

そう言い洞窟を後にした


魔術師を倒した話は国中に響き渡った

魔導将軍ラグスの功績は讃えられ

一人の少女「私」を、守りながら魔術師を倒した功績それは歴代の魔導将軍でもなし得なかった新しい功績として歴史に刻まれる

リートグルムは小さい国だった

世界からしたら「ちっぽけな国」それでもこうやって多くの人達がいてそれぞれが仲良く笑い合っている

あれを見るまでの私にはそう見えていた

広場に一台の巨大な格子が付いている馬車が見えた

レクサムがこう言う

レクサム『姉貴と離れるなよ…奴隷商人だ』

レクサム『近くに奴等のアジトがあるかもしれないそこには数々の奴隷たちが競売に出される』

レクサム『奴等も儲けが少ないのだろうこんな国まで売りに来るとは』

レクサム『俺は、そのアジトを潰しにいく少しでも奴隷を無くす為に』

奴隷商人を乗せた馬車が動き出す

中には老若男女様々な人達が囚われていた

不自由な日常、私の前世もそうだった諦めずに生き続けていた自分を思い出す

私が悪いあんな体で産まれてきてしまった私が、両親を恨んだ事なんて一度も無い私が息絶えた時あんな事を言っていたお母さんもお父さんと一緒に泣き崩れていた

子供が亡くなって悲しく無い親なんて存在しない

私の両親は最後までいい人だったのだ…


レクサムが後を追う薄暗い森の中を走る馬車は予想よりも大きく馬車より先が見えないぐらいの幅がある

だが重いのかそんなに速度は出ていなかった

しばらく走ると何やら洞窟のようなものが見えてくる

どうやらあれがアジトのようだ

レクサム『奴等めアジトを分けているな』

そう言ってレクサムは馬車の乗り手の方に向かう

遠目で眺めようとするとニイさんによって両目を隠された

ニイ『あれはレクサムに任せましょう』

ニイ『私達はここで待ちましょうあの子ならすぐに帰って来るでしょう』

私は途端に強烈な眠気に襲われた

薄らと黒い影が見える

それから目を覚ますと馬車の中だった

両手には手錠と足には足枷をはめられている

どうやら奴隷商人に捕まってしまったようだ

近くにはニイさんとシェルピーの姿がある

着けていたのは私達だけではなかったようだ

?『おい見ろよこいつよく見たらヴァラメンスの王女じゃねぇか』

?『おいおいこっちには綺麗な女もいるぜもう一人は髪が白い珍しいガキもいる今日はボスもご機嫌だぜきっと』

?『あんまり触るなよ、今回のは大物だボスに献上する商品だからな丁重に扱え』

?『へいへいわかってるよ新人のくせにボスに気に入られてるからって生意気だなーゼイル』

ゼイル『そう言うお前は入って3年になるがちっとも出世しない落ちこぼれだろ』

?『なんだとガキが!言わせてらー図に乗りやがって』

ゼイル『やるか?三下』

?『辞めとけゼイルの剣の腕前は俺たちでも敵わねぇこいつは元王国の暗殺部隊だぞ』

?『一般人からの俺たちでは歯が立たないぐらい火を見るよりも明らかだろ』

?『そうだけどよ』

?『着いたぞお前ら』

さっきよりも明らかに大きい洞窟が目の前に広がっていた

洞窟には数多くの空洞がありどうやら窓のようだ灯りが漏れていた

洞窟の入り口には、見張りである男性が二人立っている

見張り『ようお疲れ今日はいい収穫じゃねぇか』

盗賊2『ああゼイルが生意気にも催眠ガスを使ってよやっぱりナブルの実は効き目がいい3人とも軽々おねんねだぜ』

盗賊1『ゼイルこいつらをボスの所に連れて行け俺は馬を馬小屋に連れてくる』

ゼイル『ああ分かった』

そうやってゼイルという青年に連れられるその隙を見計らってニイさんが魔法を使おうとしていた

ゼイル『よせよ姉ちゃんあんたらに手荒な真似はしたく無い』

ゼイル『俺だってこんな事したく無い…ボスには恩があるだからやっている』

ゼイル『ボスはいい人なんだ』

悲鳴が響き渡り目が覚める

泣き崩れる声と痛ましい悲鳴が響いていた

?『ほらよ飯だあんたらにはうんと良い飯を渡すようボスから言われている』

宿屋の食べ物とは違う豪華な食べ物を出される

何でも、ボスとゼイルには今までに感じた事の無い不思議な雰囲気が私達から感じられたそうだった…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る