第4話


 「本当に……本当にいいのか?僕達だけで見て」


 僕はしつこいようだが松木に確認した。

 松木は少し考えた後に――


 「あぁ、むしろ俺達は見なくちゃいけないと思うんだ。……いや、ただ、見たいだけだ。あの頃の自分、そして皆に、もう一度会いたい」

 「……何かあったのか?」


 本当に今更ながら、そんな事を考える松木に疑問を覚えた。


 「何かって程の事は無ぇよ。生きてれば躓く事だらけだ……。ただ、新田が死んだ時に比べれば……」


 その台詞を聞いて、松木の中でも”新田の死”というものが大事件の一つになっていたのだと感じた。

 当然の事だと思うが、確認する事も出来なかった。

 自分だけが必要以上に過敏になっているのかも?とは、感じていた。


 それ以上は何も言わず、僕等は封筒を開けた。


 中には一枚の写真と、各々の名前が書かれた、四枚の折られた紙。


 先ずは自分宛ての手紙を開く事にした。

 僕は少し緊張しながら手紙を読む。


 『生きてるか?』


 たったそれだけ……適当すぎる。

 そう感じた後に、不思議と涙が出てきた。


 そう、僕は生きている。この退屈で陰鬱で中身の無い、時に理不尽にすら感じる現実を……。

 生きているのだ。僕は……。


 そんな当たり前の事が痛い。

 その場に崩れ落ちてしまいそうな程に……。


 松木も同じ様に呆然としていた。


 松木が何を書いたかは知らないが、過去の自分というのが、ここまで今の自分自身を無防備にさせる事を知った以上、松木のダメージも理解出来る。

 そう思った後に、すぐに僕は新田と伊崎の手紙が気になった。


 二人はどんな未来を見ていたのか……?


 それが、僕の救いになる気がして……。


 松木の持っていた封筒を、半ば奪い取る様な形で受け取り、中から新田の手紙を取り出した。


 手紙を開き僕は読んだ。

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