俺の後悔
なんでこんなこと聞いてるんだ、直希が引いてる。俺は男なのに
「急に変な事聞いてごめんなさい」
気まづい空気が流れる、どうすればいいんだ俺は、ひたすら俯くことしか出来ない。
「僕はヒロコさんが男でも、人間じゃなくてもきっと好きになると思います。だからそんなに、悲しい顔をしないで下さい。」
また涙が溢れそうになった、男でも好きになる、それはきっと俺がこの姿だから言ってるだけで、元に戻ったらきっとまたいつも通りに戻るんだ。
「嬉しいです」
今俺が言えるのはこれだけだった、涙でぐちゃぐちゃの顔を無理やり笑顔で上書きした。嬉しそうな顔に見えてるだろうか。
「僕好きになった人は、男でも動物でも愛せます。それくらいヒロコさんあなたが好きです。」
嫌だ、そんな事言わないでくれ。男に戻りたく無くなる、ずっとこのままがいいと思ってしまう。
「そろそろ帰りましょうか、私払いますよ。」
気持ちを切り替えて、本来の目的を果たす。うどんに比べれば安いが、それでも払ったことに違いは無いのでもう直希とのお出かけはここで終了。
「ありがとうございます。」
「うどんより、全然安いですけどね」
これでもう、直希と二人で遊ぶことは無い。これ以上一緒にいると辛くなる、スパッとお別れするのが一番いいはず。また戻ったらいつも通りの生活が待っているんだから。
「あのっ、もう少しどこか行きませんか。」
この言葉を待ってた俺がいた、本当はもう帰った方がいいに決まってる。けどまだ一緒に居たい。正直お金を返すとかそんなことはどうだって良かった。
「ぜひ行きたいです!」
今はもう、直希と二人っきりのデートを楽しむ以外頭に無かった、ずっとこの時間が続けばいいと思ってる。
二人ともお金が無いから、公園のベンチてひたすら喋ることにした。
穏やかな時間が流れる、楽しい時間はあっという間だ。すぐに夕方になった。本当にお別れの時間が迫ってきてる、本当の事を伝えた方がいいのか悩む。男でも好きだと言ってくれた気持ちには嘘はないと思ってる。けど、ヒロコじゃなくて、タツヒロだったら直希は本当に好きで居てくれるのだろうか。
「僕今日は、本当に楽しかったです。別れるのが惜しいくらいです。」
「私もです、楽しかったです」
「今度また一緒に、出かけたりしたいです。」
また泣きそうだ、もう二度と会えないと思うと胸が張り裂けそうになる。そんなのは嫌だ伝えないと後悔する気がする、言っておかなくちゃ、俺直希に好きだって言いたい。
「今日一日一緒にいて、本当に好きになりました。好きです」
言ってしまった。本当に後悔しないように生きて行きたいから。
「あと、私もう一つ言いたい事があるんです。」
「何でも大丈夫です、僕が受け止めます」
「約束があって、今から話す事は、全部忘れて下さい。」
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