第17話 通知を急いで隠しているけれど、全部見えてるよpart3
「実は… 最近優香と話してて…… 」
パンジーは照れくさそうに話し出した。目線はやや斜め下を向いていて、俺たちを直視できていない。視線が重なってしまえば、この照れ臭い話ができないのだろう。
やや言葉を詰まらせながら、話を続けている。
優香とは俺たちのクラスの生徒だ。俺たちとはあまり接点がなく、パンジーとの関係も親密には見えなかった。
それほど活発なタイプではなく、クラスでは静かに自分の時間を楽しんでいる印象だ。髪は短く切り揃えられており、さっぱりとした雰囲気がある。部活動では、バスケ部に所属しており、運動神経は抜群だ。
そんな彼女だが、いったいどこでパンジーと親密になったのだろうか?
それはみんなも気になっているところだと思う。
「へーなんか意外」
石津が疑問を浮かべるような反応をする。俺も同じ事を考えていたので、ちょうど良い。石津が反応する事で自然と、どうやってここまで親密になったのかを話す空気になる。
「えっと… 最初は、係の仕事で、一緒にアルバム係をやったのがきっかけ… 」
きっかけはアルバム係か。なるほど、確かにアルバム係は2人で話す機会も多く、放課後まで残ってどの写真を採用するのかを考えることがある。
その際には懐かしい写真なども見ることになり、そこから生まれるコミュニケーションもあるだろう。
「それで、少しずつ話すようになったみたいな…… 」
「で、好きなの? 」
俺は、ぶっ込んでみた。このまま、ちょっとずつ話を聞いても良かったんだけれども、細かい話は後にして本題を聞いてみることにした。
俺の質問にパンジーは、もじもじと答えづらそうな顔をして沈黙している。いつもはバカみたいにうるさいのに、今は妙に大人しい。恋愛の話になると、意外と弱いんだな。
「好きじゃないなら、俺が告ってもいい? 」
あまりにもパンジーが白状しないので、最後の手を使ってしまった。流石にここまですればパンジーは反応するしかなくなるだろう。
「っはあああ? ダメに決まってんだろ! 」
「好きじゃん笑 」
やっぱりパンジーはわかりやすい。俺が優香を狙うような動きを見せると、すぐに怒り出した。これじゃ好きだと宣言したようなものだ。
「ちちげえし… 好きじゃ… やっぱ好き。あっ!?言っちゃった? 今俺言った? 」
やはりこいつはチンパンジーだ。人間の知能レベルを遥かに下回っている。
「じゃあさ、電話してみれば? 」
俺は、電話をしたら面白そうだったので提案してみた。みんなもギラギラとした目を向けてくる。賛成みたいだ。
石津なんかは、顔を真っ赤にして枕に顔を埋めている。自分が電話をするわけでもないのに、なぜか照れているみたいだ。
「パンジーが電話しないなら、俺がやるけど?
パンジーが話したいって言ってるよ〜って」
「…… ああああああもうっ、わーったよ」
パンジーは通話をするためにスマホに手を伸ばした。
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