episode43 指輪
「【くすのき】強化版が倒された?!やばいな……吉木、逃げるぞ!」
「おっ…おう……。」
そんな会話が聞こえてきた。2人組が逃げようとするルートに僕が立ちはばかる。そこから逃げてもらっては困るので足を氷で固めることにした。
「あっ、足が……離れねぇ!」
「しかもこいつ、使う能力の名前を言ってないのに発動してる…。何者だっ!」
あ、今詠唱してないことに気づいた。まぁいっか。とにかく僕の質問を問いかける。
「何故、あんな真似をしたんですか?答えてください。」
そういいながら氷の玉を宙に浮かせ「いつでも殺れるんだぞ」と脅迫する。
「そっそれは…、ボスに言われてやった。他の事は言えねぇ。」
「吉木……。」
ボスか……。僕の知っているボスは一人しかいないが…。まぁそうじゃないことを願う。
あ。そういえばこの人、麗のチームに居なかったか?でもこんなに能力が強かったか……?とにかく聞くか。
「君に聞く。君は麗のチームにいたよね。」
「はい……。」
「んで、なんでそんなに能力が強くなったのかが聞きたい。元から能力の強さを隠してたのですか?」
「それは………。」
そう言って顔をそむける。
なんだか言いたくなさそうだな。こうなるとこっちまで心が痛くなる。でも麗を危険に合わせたのに変わりない。ここは心を鬼にして聞く。
「言え。5体満足じゃなくなるぞ。」
「うっっ……この指輪が元です。だからこうしてっ!【わたなべ】召喚!」
後ろから巨人二体目が出てきた。正直、後処理が面倒くさいので止めてほしいものだ。正直放置していてもいいのだが、街に被害出たらヤバそうだし、また倒すか。といっても超電磁砲じゃ倒せないし……。今度はあの能力で!
「幻想破壊(イマジンブレイカー)!」
高校生がチート吸血鬼と戦った時のあのドラゴンを再現してみた。僕の出したドラゴンは巨人の頭から丸吞みしていった。そして、巨人を全て食べて消えた。
さすがに疲れたな~。召喚主も驚いているようだね。
「【わたなべ】まで倒された?!もう出せるような体力はない……。命だけは…!」
なんか命乞いされてる件。そんなことより指輪の方が気になる。危険物なのか分からんし。まぁ少しもらって鑑定するか。そうして指輪を渡すように促す。
「別に命を取ったりはしません。それより、その指輪を少し見てもいいですか?」
「どっ、、どうぞっ!」
足だけ拘束してるから勢い良く渡してくれた。早速鑑定をする。
♦
能力元の指輪
能力のエネルギーが固まった物で作られた指輪。これを装着すると、能力値自体が上がる。
♦
そういうことか。だからあんなデカブツも召喚できたのか。
「ありがとうございます。ですが、こんな危険なことをしておいて放置できることは出来ません。しっかり警察へ連絡します。」
「はい……。」「はい……。」
「それでは行きましょう。転移(ワープ)。」
僕たちは警察署の前までワープした。ってこれ人前でやったら不味いやつじゃん。
「記憶喪失(メモリーデリート)。」
そうして、僕だけの記憶を消した。しばらくして警察が来たので事情を話す。被害がそこまでなくてよかった。まぁ道路は割れたけど。
警察に事情を話した後、めちゃくちゃ感謝された。簡単にまとめるとこんな感じだったな。
「ありがとうございます!君のやったことは世界であるべき行動であり、実に勇敢にやってくれた!本当にありがとう!」
とりあえず疲れた。麗たちの場所まで行こ。僕は再び歩き出した。
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