episode34 百合

全1試合目が終わり、休憩時間。僕はとある場所へ向かっていた。そう、麗のチームの所だ。普段なら本を読んだり、寝てたり、ゲームをしているのだが今日は僕の学校に麗が居る。会いに行くしかないでしょ。でも妹の場所が分からないな……試しに能力を使ってみようか。


「えーと、何か索敵に使えそうな能力って合ったっけな~。あ!思いついた。」


そうして僕は能力を発動する。


「周囲全体感知(オールノース)。」


発動した瞬間、僕の周りの情報が全て頭の中に流れてくる。別に一気に流れてくるから頭が痛いとかないし、ほとんどの情報が頭の中に定着している。おかげで麗とそのチームの場所が特定できた。もうここまで行くと自分が怖いよ。

そう思いつつ、僕は麗の場所へ向かった。



「あ!おねーちゃんだー!」


「は?お姉ちゃん?あんたお姉ちゃんいたの?」


「うん!その代わりお兄ちゃんがいなくなったけど。」


「はぁ…どういうことか…」


僕の麗が視界に入ると大声で僕のことを呼ぶ。お姉ちゃん呼びには慣れたが、やはり他人の前だと恥ずかしい。

そういえば他の人は僕が男だと思ってるもんな。まぁ気持ちはまだ男だけど。ん?これって俗に言う「男の娘」ってやつなのでは?少し嫌なんですけど…。

そんなことを思いながらも麗と会話をしだす。


「お姉ちゃん、一試合目凄かったね!」


「あれはたまたまだ。もし本当にマグマが降ってきたとしたら…って考えたら恐ろしいからな。」


「もー。お姉ちゃん自己肯定感低すぎ!もっと自分を褒めていいんだよ?

ちょっとこっち来て。」


自己肯定感低いって…あれ本当に、たまたまだったんだけどなぁ…

って麗に手招きされてる。本当に僕が言っていいのか?僕以外の人の可能性は…ない。何が起こるんだ?

僕は恐る恐る麗に近づく。


「あ、来てくれたー!ぎゅーっ!」


麗にハグされた。え?どうして?唐突にしてきたので驚きを隠せずにいる。そしたら麗が話しかけてくる。


「えへへ。お姉ちゃんは強いし偉いよ~。優しいし、頼りがいがある人だよ。だから自分をあまり責めないでね。ぎゅーっ!」


優しい声だった。なんかこれ他の人から見たら百合状態になってね?それって不味いんじゃ…


それより麗の言葉を頭の中で再び再生させる。

今思い返してみたら、自分を責めすぎていたのかな←いやそれはないわ。甘えんな。

結局自分の自己否定が勝ってしまった。だけど心地が良い。もう少しだけ、麗の腕の中に留まっていよう。


………………………

麗の隣の人目線


えっ!この人が姉?可愛いし、少しカッコいい!

兄がいなくなったってどういう事なの~?!

私は聞こうとしたが、それより麗の姉がさきに喋ってしまった為、聞けなかった。


会話の途中、麗が麗の姉をいきなりハグしてなんか18禁の百合状態みたいになってる。え?さすがにここで、あんなことやこんなことはシないよね?

まぁここに私がいるのは邪魔よね。他の所に移動しましょう。

そうして私は、チームのもとへ向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る