episode15 リーダー

「わー!今日のルイちゃんのお弁当すごーい!手作り?」


「今日は妹が作ってくれた。」


「えー!ルイちゃん妹がいるの~?知らなかった~!」


とグイグイ聞いてくる。あまり質問攻めをされるのは得意ではないが、問題を解決してくれた人だし、恩は返さないとな。そうして俺は質問を回答で返す。


「妹はこの学校よりいい所に在籍している。そういえば貴方は何故この学園にいるんだ?他にもいい学校があっただろ?」


「私はねー普通の人生を送りたいんだ。実力とか能力値とかどうでもよくて、みんなで楽しく学校生活を送りたかったからここに来たんだ~!」


海原さんにも人間の心がしっかりあって安心した。この人の考えていることが俺には全く分からないしな…。善処しなければ。

そして俺は弁当を先に完食し、


「ごちそうさまでした。俺は先に行きますね。」


「了解~!あと、【俺】じゃなくて【私】とか、最低でも【僕】にした方がいいと思うよ!今、ルイちゃんは女の子なんだから!」


「分かりました。それじゃ。」


そして手を振って分かれる。一人称か…【俺】以外使ったことがないからな……今度から【僕】ぐらいにはした方がいいのか?ネットで一人称が【僕】の女性を見かけたことがあるし。でも俺が使って大丈夫なのだろうか。これで変とかされたらまた俺に戻そう。



午後の授業が終わり、みんなが解散する前に先生から一つお知らせが入った。


「えー。みんなに知らせがある。近頃、他学年他学校交流会が開催されるのは知っているよな。そこで、その代表のメンバーの4人を発表する。」


他学年他学校交流会?絶対能力バトルだろ。目立ちたくないからなるべく代表メンバーになりたくないのだが……。


「まず一人目。八雲。そして二人目は花村。三人目は、桜井。四人目このチームのリーダー………。」


と先生は少し溜めた。クラスに緊張が走る。俺は選ばれないように必死に願う。どうか神様。俺を選ばれないようにしてください!だがこの願いは届くことはなかった。


「小鳥遊。お前だ、クラスをよろしくな。それじゃ解散。」


「ちょっ先生!俺っ(小声)僕ですか?!」


「ああ、拒否権はない。他の奴らもだ。それでも異論があるなら小鳥遊が相手になる。」


と先生は教室を出て行ってしまった。どうしよう、俺がリーダーとか終わっただろこの学級。

そして俺に視線が向けられる。やばい2割ほど殺意むき出しの目だ


「と、取り合えず今日は帰ろう…。」


と、俺は素早く準備をして光速で帰路についた。明日からの学校終わったな。そう思いながら帰宅した。

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