episode10 嘘偽り

俺が伊藤 カイト殴りかかった瞬間、一人の少女が氷の壁を破壊し、俺と伊藤 カイトの戦いに入ってきた。


「はーい、ストップ!ストップ!ふー、間に合って良かった!」


聞いたことのある声だった。その声の持ち主は海原 渚さん。それを知ってやっと俺は冷静さを戻し、殴りかかるのをやめる。


「それで?この場面を見ると彼女が悪く見えるけど?だれか説明してくれる?」


そう聞かれたので言おうとしたが、この状況では俺が不利だ。なので伊藤 カイトが喋るまで待った。


「あ、あ、あいつが全部悪い!お、お、俺たちをこ、こ、殺そうとした!あいつは悪人だっ!」


そう怯えながら俺を指さす。自分の悪かったところ省いていますよーって言いたいけど恐らく今の俺に信用がない。いくら話したって無駄だ。と、この状況を突破する方法を考えていたら、海原さんから質問された。


「今、言ったことがあの男の子の言う通りなら、君は刑務所行きだよ?君には反抗する意見がある?」


もしかしたら、信じてもらえるかもしれない。そう自分に言い聞かせて、話す。


「あの人たちは、先に僕を殺そうとしました。そこに凍ってるロケランとスナイパーライフルが証拠です。何とか能力で防げたのですが……その後、何もなかったかのようにあの人たちが帰ろうとしていたのが腹立たしかったので、つい怒りの感情に任せてしまいました。多分俺が一番責任が重いと思うので、しっかり責任を持ちます。」


とありのままに話した。信じてくれないかもしれないけど、話さないと心がモヤモヤした状態になると思う。だから、噓偽り無く話した。そして俺が理不尽な責任を持ってこの話し合いを終わらせる。そして速攻家に帰る。妹に飯を作らなきゃいけないしな。


「なるほど。彼女の話も真実のようだね!しっかり証拠品もあるし、なにより彼女の目が真実を語ってる。君は帰っていいよー!後は私に任せて!」


「分かりました。お願いします」


俺はそういって、この場を後にする。明日にはどうなってるのか………とりあえず俺はスーパーで食材を買って家に帰宅した。


「お姉ちゃんおかえり~思ったより早く帰ってきたね!」


「あぁ、まぁ少しばかり絡まれたりしたが……とりあえず、ただいま出来たことに感謝。」


「お姉ちゃんお腹が空いたよ~早く作って~!」


「じゃあ早速料理しますか!」


と、妹と話ながら鞄など下ろし、料理を作り始めた。

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