第2話 緑と青葉

「学校付いたよ。じゃあ、私は一年生の教室だから。」

「まって、緑。やっぱり、私には無理だよ。」

「お姉ちゃん、頑張って。」

「お~い!緑!」

妹の友達が後ろから手を振っている。

「じゃあ、友達が呼んでるから。」

「・・・」

そういうと、妹の緑は友達の方へ行ってしまった。

「青葉さん?」

ふと振り返ると、クラスメイトの松永さんがいた。

「おはよう、松永さん。」

「おはよう、青葉さん。」

松永さんは、不器用な青葉にやさしく接してくれる数少ない人だ。青葉の不器用さも理解してくれている。

「ねぇ、ずっと思ってたんだけど、青葉さんのこと、青葉ちゃんって呼んでもいいかな?」

「私は構わないけど、、、」

「ありがとう。」

「松永さんは、どうして私に構うの?」

「それは、、、どうして仲良くしてくれるの、ってこと?」

「そう、そう言いたかったんだけど、、、ごめん。ほんとに。」

「ううん、いいよ。青葉ちゃんは言葉が不器用なだけだもん。」

青葉は、愛でお腹が満たされていく感覚に、安心を覚えた。

「だって、青葉ちゃん、可愛いじゃん?」

「うん。そうだね。」

「あっさり認めちゃったよぉ」

「だって、緑にもよく言われる。」

「緑って、妹さん?」

「うん。」

「姉妹そろって美少女だね。」

「ありがとう。。。。。。」

「最初はね、可愛いなって思ってたの。でも、仲良くなっていくうちに、とっても不器用な子なんだなって。でも、性格も、不器用なだけでとっても素直で、守ってあげたくなっちゃうの。

一緒にいて楽しいから、仲良くしてるんだよ。」

青葉は、これまでにない、優しい味の愛に、なにより、その言葉に泣きそうになってしまった。

「どどどどど、どうしたの!?泣いてる!?」

「うぅ、、、」

「ごめん、私なんかしちゃったかな?」

青葉は首を横に振った。あたふたしながら青葉の様子を伺っている松永さんに、青葉はこう呟いた。

「こんなに優しい言葉をかけてもらったこと、、、なくって。」

青葉はぎゅっと抱きしめられた。

その瞬間、涙がとめどなくあふれて、声も上げずに、静かに泣き崩れてしまった。

そういえば、緑にも、‘‘お姉ちゃんと一緒にいて安心できるから、お姉ちゃんと一緒にいるんだよ”って、いわれたっけ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る