第11話【ネタバラシ】
「
むだに長い前髪のイケメンが、苦しげな表情で言葉を絞り出す。
青みがかった長い銀髪を一つに結わえ、長いまつ毛に縁どられたセルリアンブルーの瞳が憂いを帯びている。鼻筋の通った顔は精悍で、下唇が少し肉厚なのがセクシーだ。青を基調とした礼服もかっこいい。
鼻水や
「聖女【メアリー】を妻とします」
――よっしゃ! 生存フラグ立ったあぁっ!
メタ読みするとしたら、ここでようやく【シャーロット・カートレット】として
「どうだ、この悪女め。ざまあみろっ!」
ごちんっ!
あ、イテッ。つーか、人の顔をぞうきんにするなんて、なかなかの良い育ちをしているなぁ。
ふかふかだから思ったより痛くないけど、絨毯の毛が目に入ってすごい痛い。
これは完全に計算外だった。私が今、演じるべきは、世界を混乱に陥れた世紀の大悪女だというのに、涙目なんて格好がつかない。
というか、前髪掴んで涙でぐちゃぐちゃになった顔を、衆目に見せつけるなんてどんなプレイだよ。ウィルもすごい引いてるよ。
「チッ。ねぇのかよ。泣けよ、喚けよっ!」
て、あ、蹴るのね。
暴力のレパートリーが貧弱な上に、語彙も貧弱すぎて退屈すぎる。
あらかじめ拷問対策に、痛覚遮断魔法を自分にかけておいたんだけど、痛みがない分、ものすごくつまらない。
この茶番じみた進行もテンプレートすぎて、この国の未来が不安になってくる。
あ、やべ。あくび
まぁ、鼻水よりはマシだよね。
あー、早く処刑してくれないかなー。
世紀の大悪女【シャーロット・カートレット】
――彼女が日本人の魂を持つ、前世の記憶もち転生者であることを誰も知らない。
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