第6話

「君の着ている服も食べ物も、手に持っているなにもかもが、歴史に名を残さなかった人々が、今日まで紡いできた努力のたまものだよ。ウィル、君はそんな彼らをド底辺だと笑うかい。価値がないと切り捨てるのかい? 今日、下水道のスライムを片付けたことで、君は人々に感謝されて報酬をもらえた。……さて、君をバカにして小突いた奴らは、人々に感謝をされる働きをしただろうか。ドラゴンテイマー? かっこいいけど、公爵家の人間が戦いの前線に出るなんてありえないし、結局、宝の持ち腐れだよ」


 君の言葉を一字一句、持て余すことなくすべて覚えている。

 忘れるものか、おかげで僕は生きても良い存在だと確信できたのだから。

 どん底の暗闇の中で見つけた光が君だから。

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