第20話 ジャルディアンの戦い 後半
ライリーは自ら中央にいる軍を後ろから襲っている骸骨兵を倒していた。
魔力を体全体に流し強化魔法を使い、骸骨兵を蹴散らしているが、骸骨兵の数は中々減らないのであった。
(まずいな。なぜ減らないんだ?何か細工があるはずだ。………なぜ骸骨兵を倒した時の骨が地面に落ちていないんだ?………回収されているのか?だとしたら減らない理由は、骨をリサイクルしているということか!)
「この禁忌魔法を使っているやつは、安全の為にヴェルナーの近くにいるはず。リッツ!数人の部下だけを連れて、私の後について来い。他の近衛兵はここで骸骨兵を倒させよ!」
「はっ、わかりました。」
ライリーは少し待った後、ヴェルナーの本陣に向けて全速力で騎馬で駆けるのであった。
「邪魔だ!死にたくない奴は道を開けろ。」
敵兵を軽々と屠っていくライリーの姿に恐れた敵兵は、少し道を開けてしまった。そこからライリー達は、本陣へと向かうのであった。
「本陣はそこか!突撃するぞ!!」
十数人の兵と共に本陣への突撃を開始した時、骸骨兵の2倍ぐらいでかい骸骨が進路を塞ぐようにいた。
「ただのデカ物が。通らせろ!!」
しかし、でかい骸骨は硬く、中々突破出来そうになかった。
「王太子殿下!!ここは私たちが足止めをしておきます。殿下は本陣へお進みください。」
「くっ…………わかった。お前ら死ぬなよ。」
ライリーは一度、ここまでついて来た兵士達を少し見て、そのまま本陣へと向かった。
「よくここまで来ましたね。ですが、ここで終わりです。最強の骸骨、スケルトンキングによって死ぬのです。」
このスケルトンキングは、全長およそ6m以上はあり、骨の周りは鉄のフルプレートで守られていた。
「ちっ、魔法
この瞬間、巨大な風がスケルトンキングに向かって吹き、この風に当たったスケルトンキングから防具にヒビが入っていたり、完全にプレートが剥がれた部分もあった。
「ウォォォー」
スケルトンキングは手に持っている、ロングソードをライリーに向かって振り回していた。
「大きくなっても、剣は素人みたいだな。力任せのただ剣を速く振るってるだけだ」
そういったライリーは、スケルトンキングのロングソードの上に乗り、剣を駆け上った。スケルトンキングは剣を地面に叩きつけたり、強く振るったりする。
しかしライリーは、風の魔法を使い自身の体に風を纏いながら上っていき、剣のグリップに着くと、スケルトンキングの顔ギリギリのところで魔法を撃った。
「魔法 風龍の
暴風のような風がライリーの手から撃たれ、スケルトンキングの頭に直撃した。この魔法は、頭を粉々に吹き飛ばし、スケルトンキングは、骨がバラバラになるように崩れ落ちた。
「ばっ馬鹿な。スケルトンキングがやられただと……。私の集大成が、こんなにあっさりと終わっていいものかあーーー!」
禁忌魔法を使っていた、ヴェルナーの配下であろう男は叫んでいた。
「愚か者が。お前は死んで死後の骨を弄んだ罰を受けろ。」
ライリーは、男に剣を振るい、そのまま絶命したのであった。
「ヴェルナー、こんなことをして言い訳はあるか?」
その禁忌魔法の男の隣にいたヴェルナーに向かってライリーは、話しかけた。
「兄さんには敵わないよ。あんな魔法を撃てるなんて、いくら僕が魔法を研究しても勝てないじゃないか。ここまでしたのに兄さんを超えられないのか。僕の一番人生をめちゃくちゃにした才能溢れる兄さんが一番嫌いだ」
「そうか…すまなかったな……。私がもっとヴェルナーに歩み寄ればよかったな……。だが、この後始末はつけてもらう。せめて、処刑ではなくここで討ち取らせてもらうぞ。私はヴェルナーのことずっと好きだったぞ。」
ヴェルナーは目を瞑り、無言でライリーに討ち取られた。
「早く言ってくれればよかったじゃないか………。」
(ランスルフーロ王国はそこにつけ込んだのだな。エレンジア王国が列強の思う通りになるとは思うなよ。いつか、私が直々に裁きを下してやる。)
ヴェルナーが死んだ、反乱軍は次々に降伏していき、西側の反乱は終息したのであった。
………………………………………………………
ジャルディアンの戦い
ライリー王太子が初めて参加した戦となっている。ライリー王太子が放った風龍の
今でもその山を見る事ができ、ライリー王の魔法の凄さを実感が出来る遺産となっている。
山の麓にあった村は、神が怒ったと勘違いして、必死に山に向かって祈ったという。ここから新しい宗教[ヴァルタージ教]が生まれ、この山は神聖なる山として立ち入り禁止となった。
ヴァルタージ教は世界六大宗教の1つとなっている。風を重んじる宗教ではあるが、魔法とは属性問わず、どれがすごいという事はなく役割が違うだけで、強さは平等であるという理念を掲げている。
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