第19話 ジャルディアンの戦い 前半
最初に動いたのは、中央にいるエレンジア王国軍ベルガー大将の指示により、魔法師による魔法攻撃が行われたがヴェルナー反乱軍の魔法師によって防がれた。
それを確認したベルガー大将は中央に一般兵1万による攻撃を開始した。
ヴェルナー反乱軍は、待ち構える体制をとりながら、エレンジア王国軍を迎え撃った。
左右の戦場では、まずは弓での打ち合いが始まり、両軍の騎兵が真正面からぶつかり合った。
「前だけを見ろ!このまま突破して、敵の中央に齧り付くぞ!!」
ハーン大将は自ら先陣を切り、突撃をしていくき、相手の指揮官の首をとった。その事に動揺した敵騎兵を突破していった。
「抜けたぞ!このまま中央に向かう。」
その時、敵弓兵の一斉射撃がハーン大将の軍に射かけられた。
「前に居るあの目立つ奴を狙うのだ!!」
ヴェルナー反乱軍の弓兵による攻撃は、ハーン大将の勢いを削いでいるのであった。
ここでハーン大将がとった選択は、弓兵を無視し中央に突撃する事であった。これにより、押していた中央のエレンジア王国軍がさらに勢いづき、ヴェルナー反乱軍は劣勢へと陥って来たのであった。
「中央以外目を向けるな。中央に進むのだ!」.
一方、フレジア中将は先陣を切らずに騎兵部隊の真ん中に居ながら指示を飛ばしていた。
「あそこにいる指揮官に突撃しなさい!右の騎兵が遅れています。もう少しスピードを上げてください!」
的確な指示により、徐々に優勢になっていた。
しかし、フレジア中将は中央の方を見た時、敵軍がわざと下がっているような気がした。
(こんなに弱いのに、外で決戦を挑んできたの?ヴェルナー王子はそんなに愚かではないはずですが。)
「このまま行けば勝てるな。」
ライリーは敵軍がわざと下がっているような気はしたが、一旦勢いづいた兵士達を戻すことはしなかった。
その時、突如地面から骨が現れたのである。それは骸骨兵と呼ばれるアンデット系の魔物であった。
「まずい!今すぐ中央の軍を下がらせろ!!」
ライリーはこれが何かをすぐに理解した。骸骨兵は、エレンジア王国軍の中央にいる軍の後ろに多数出現したのである。その数は3万を超えていた。
(ちっ、中央の軍と本陣の距離を離す為に、わざと下げていたのか)
ライリーは敵が禁忌魔法である、人の死骸をアンデット化する危険な魔法を使われた事を悟った。
(これではまずいな。私が出るしかないのか)
ライリーは自分から前線へと出ようとしていた。この禁忌魔法を使った術者を倒す為であった。
「お辞めください!王太子殿下に万が一の事があれば負けますよ!殿下はここで見といてください」
近衛軍の近衛団団長リッツ団長は、ライリーを止めていた。しかし、ライリーは止まらなかった。
「この戦の勝利は私の命と等しいくらいに重要なのだ!それに私に死なれて困るなら近衛が全力で守れ!それこそが職務であろう?」
ライリーはそのまま前線へと騎馬に乗って駆けて行くのであった。
「くっ………近衛軍、ライリー王太子殿下に続け!王太子殿下をお守りするのだ!!」
………………………………………………………
禁忌魔法
各国で禁止されている魔法の総称の事。今回のアンデット化は禁忌魔法の1つとして数えられており、見つかった場合、即刻排除措置がとられるようだ。
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