第15話 タンドリアン平原の戦い 


 この日、タンドリアン平原では2つの軍が相対していた。


 エレンジア王国軍は中央に歩兵2000、その後ろに魔法師1000を配置した。

 左右には歩兵1000ずつ、騎兵1000ずつ、その後ろに弓兵1500ずつを配置したのであった。


 レオ王子反乱軍とオストマン帝国軍は、中央に騎兵500を前にし、歩兵2500、弓兵1000を配置した。左右には歩兵750ずつ、その後ろに魔法師を150ずつ配置したのである。


 まず、エレンジア王国軍は1万の有利を活かし、魔法師と弓兵による射撃を繰り返した。


 この時、レオ王子反乱軍とオストマン帝国軍は近接戦闘で勝つしかない事を心得ていたので、中央を厚くした陣形にし、レオ王子は自ら軍を率い、弓兵と魔法師を除く騎兵500と歩兵4000による攻撃を開始したのであった。


「騎兵2000を反乱軍の横っぱらに突撃させよ!」


 ルーカス大将はこの動きを察知し、弓兵と魔法師に中央の敵軍を重点的に攻撃するよう命じ、騎兵2000を左右から送り出した。


 

 この時、レオ王子は自ら軍を率いてはいたが、相手の陣形を破り本陣を目指すことしか考えずにいた。


 それが今回の戦いの勝利の分け目となったのであった。


 レオ王子が率いる中央の軍は、左右と比べ突出しすぎていたのであった。しかも、騎兵が先頭になって突撃をしていた影響もあり、歩兵のスピードも速くなっていっており、ついていけない兵が遅れていっていたのだ。


 エレンジア王国軍の騎兵は突出した中央軍の横を突くように突撃をして、先頭との分断を計った。


「歩兵を突撃させよ。孤立した敵軍を殲滅するのだ!!」


 ルーカス大将は孤立した敵兵を殲滅しようとしていた。


「ライリーの軍は弱兵どもよ!俺に勝てる者は居ないのか!」


 しかし、レオ王子の武力は誰にも止められずレオ王子とその配下数人を取り逃がしてしまったのであった。


「撤退だ!撤退するぞ。」


 アクロフ中将はレオ王子が抜け出したのを確認した後、撤退を開始した。


(予定通りだな。我々の軍を左右に配置しといてよかったわ。これで戦力をこれ以上消耗せずに済む)


 アクロフ中将は1人笑顔を浮かべながら撤退したのであった。


「追撃をしろ!ここで敵兵を1人でも多く倒すのだ。」



 ルーカス大将は撤退した兵に追撃を命じ、ある程度の距離まで追撃した後、軍をドラマリ要塞に一時引き返したのであった。



 この追撃では、後ろにいたレオ王子反乱軍が甚大な被害を受けたが、不思議なほどにオストマン帝国軍は被害を受けていなかったのであった。


………………………………………………………


  タンドリアン平原の戦い


エレンジア王国軍被害


 死者  216人

 負傷者 351人

合計  567人


レオ王子反乱軍被害


 死者  1021人

 負傷者 2043人

 合計  3054人


オストマン帝国軍被害


 死者  42人

 負傷者 187人

 合計  229人



 後世では、エレンジア王国軍が大勝した戦いで有名である。


 しかし、最近の研究ではオストマン帝国軍の勝利なのではないかという見方をする人が増えており、評価が見直されてきている戦いである。


 この戦いでは、ルーカス大将による指揮の適切さとレオ王子の広く戦場を見られない指揮官としては無能さが世間に広まった戦いであった。


 オストマン帝国軍の被害の少なさには、いくつかの説があるがたまたま被害が少ない場所にいたというのが有力な説である。


 しかし、小説家や映画などではアクロフ中将の策略によるものだという書き方をされている作品も多く見られるがこれは、想像の世界に過ぎないだろう。


 








 

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