第13話 ドラマリ要塞攻防戦 3日目 終幕
この日は、朝から総攻撃が始まったのであった。特に、オストマン帝国軍は昨日よりも勇猛果敢に攻めていき、戦闘開始から1時間で城門付近まで攻められており、いつ中に入られてもおかしくないような状況だった。
エレンジア王国軍は、ドラマリ要塞の破られた城門に即席で土嚢を積み上げ土嚢の下に穴を掘り、エレンジア王国軍の兵士が立ったまま土嚢に隠れるようにした。
土嚢の後から次々と矢が放たれ、オストマン帝国軍を苦しめたが、数の暴力には勝てず次第に剣が届くようになってきた。
エレンジア王国軍4400人をレオ王子反乱軍側に1400人オストマン帝国軍に3000人を振り分けたていた。
しかし、城門が破られた事による穴埋めは厳しく、徐々に城門に辿り着く兵士が増えてきていた。
ここでラインフェルト元帥は土嚢にいる兵士を下げ、下げ終わったら火矢を土嚢に撃つよう命じた。
実は、この土嚢には兵士を下がるタイミングでアルコールをたっぷりとかけていたのである。
「いまだ!火矢を放て!」
敵が殺到したその時、土嚢に刺さった火が燃え、城門が火に包まれたのであった。
「こちらに飛び出してくる兵士は全て撃つのだ!躊躇うなよ!ここで一兵でも多くの敵兵を討ち取るのだ。」
火から逃れようと城門から飛び出してきた敵兵は全て、弓が得意なエルフの兵士達に射たれるのであった。
「敵は火を使ったか。つまり、敵は後がないという事の証でもある。全ての兵を城門に向かわせろ!私もそこに突入する!!」
アクロフ中将は昨日の失態を分析し、自分も大勢の味方と一緒に突入する事によって、敵の奇襲を防げると判断したのであった。
オストマン帝国軍の兵士が城門に次々と殺到していき、水を持ってきた兵士が消化させたりし、敵兵が次々と火を飛び越えるようにこちらに向かってくるのであった。
ラインフェルト元帥は、オストマン帝国軍側の戦場にいる全てのエルフを集め、最後の攻撃を開始したのであった。
「私の運命もここまでよ。しかし!!私の生き様をこの世に最後まで刻んでくれるわ!皆の者ライリー王太子殿下に栄光あれ!」
「「ライリー王太子殿下に栄光あれ!!」」
ラインフェルト元帥を先頭にオストマン帝国軍への攻撃を始めたのであった。
1人、また1人とエレンジア王国軍の兵士は倒れていっているが、誰もが前へ、前へと足を止める事もせずに進んでいくのであった。
特にラインフェルト元帥は、アクロフ中将の近くまで進み、最後にアクロフ中将を一目見て倒れたのであった。
ラインフェルト元帥の最後の言葉は、
「私は敵の将を成長させてしまったようだ。これが私の人生最大の失敗であろう。ライリー王太子殿下、勝手に死んでしまい申し訳ありません」
この言葉を聞きアクロフ中将は、
「あなたのおかげで私はまた一歩前に進む事ができます。私はいづれ、あなたを追い越す名将となるでしょう」
との返事を残したという。
最後まで残った兵士たちは、
「「エレンジア王国に栄光あれ!!」」
と叫び続けながら死に絶えていった。
そして、ここでもエレンジア王国軍は1人も生き延びる事はなく、討ち死にを果たしたのであった。
ここからアクロフ中将は、残ったレオ王子側のエレンジア王国軍を討つべく、兵士を向かわせるであった。
しかし、兵士が到着した頃には、エレンジア王国軍は200人ほどしかいなかった。
この敵を全て討つと残りの兵を探したが、すでに、この要塞を出て中央部へと向かっている事がわかった。
追い打ちをかけようとしたが、エレンジア王国軍の援軍が明日には到着するという事の報告が来ており、それに対応する為に追い打ちをしない事に決定した。
アクロフ中将は、200しか敵兵が居なかったのに、レオ王子は予備の軍を使わずにしたのかを問い詰めた。
そしたら、城壁の上にかかしが立っているのを敵兵だと勘違いした事により、2000人以上がいると思っていたようで、予備の軍を使わなかったという事のようだ。
「ちっ、敵が一枚上手だったか。いや、ラインフェルト元帥の入れ知恵か。最後までこちらを苦しめてくれるか……。」
こうして東部最大の要塞、ドラマリ要塞が陥落したのであった。
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ドラマリ要塞攻防戦
この攻防戦では、後の歴史学者の見解はとしては、ライリー王太子殿下の高い求心力が見受けられる攻防戦であり、ラインフェルト元帥がいかに、「鉄壁」と言われる名将であった事がわかる戦となっている。
この攻防戦があったからこそ、ライリー王太子はこの内乱に勝てたとする見方をする歴史学者も多い。
最大の見せ場は2日目の大激戦とされているが、最近では、3日目の戦いが評価されており、ラインフェルト元帥の評価を押し上げる戦いとして有名だ。
映画として、数々の作品を生み出しているこの攻防戦だが、ライリー王はラインフェルト元帥についてこう語っている。
「私のお爺ちゃんみたいな人で、当時、王子であった私を厳しく指導し、私の価値観形成されるきっかけとなったお人であった」
この攻防戦の最後の200名は全て300歳以上のエルフであり、若い時からラインフェルト元帥についてきていた者たちばかりであった。
ここからもラインフェルト元帥がいかに慕われていたかがわかるエピソードとして有名だ。
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