第12話 ドラマリ要塞攻防戦 2日目後半
オストマン帝国側の戦場
オストマン帝国の本陣では、激しい戦闘が繰り広げられていた。
「アクロフ中将、本陣はもう限界です!今すぐ逃げてください!」
アクロフ中将は決断できずにいた。ここから逃げるという事は、この戦争でオストマン帝国軍は敗北したという事になるのを理解していたからだ。
そして、自分の地位を失うことにも繋がってしまうことも理解していた。
「私は逃げないぞ!逃げるぐらいなら、私はここで敵に討たれた方がマシだ!」
アクロフ中将はここに踏み止まることを決意したのであった。
「あそこだ、敵の指揮官はあそこにいるぞ!指揮官をなんとしても討ち取れ!」
敵の声が間近に聞こえてき、誰もがここで終わりだと思ったその時……
「後ろだ!後ろから敵の援軍が来てるぞ!!」
1人がそう叫ぶと敵は動揺していた。
「皆の者、いまだ!敵を押し返すのだ!!この決戦我らがもらうぞ!!」
アクロフ中将はここが勝負の分かれ目だと直感的に感じとり、兵を鼓舞し、最後の攻撃へと移るのであった。
オストマン帝国軍は1時間もの激戦のうち、みごと勝利を勝ちとるのであった。
先ほど援軍に出ていた軍がすんでのところで間に合い、敵の後ろから突撃してくれたおかげだった。
しかし、被害は甚大でオストマン帝国軍の本陣、400いた兵は100にまで減っており、そのほとんどが死んでいた。
援軍に駆けつけた軍もエレンジア王国軍による猛攻を受け、1000人ほどがいた兵が600人までに減っていた。
敵は600人全員が討ち死に、最後の1人までもが戦意を失わずに戦っているほどの覚悟を持っていたのであった。
これには、オストマン帝国軍も恐怖を抱き、敵の亡骸が丁重に扱われているのである。
アクロフ中将は、今日はこれ以上攻撃出来ないと判断して、撤退するのであった。しかし、この激戦の最中、城門は破られており、敵は明日持つかは分からない状況であった。
「明日こそ、ドラマリ要塞を攻略してやるぞ」
そう死んだ兵士に誓ったのであった。
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レオ王子反乱軍側の戦場
レオ王子反乱軍はオストマン帝国軍が負けたのではないかという情報が出回っており、士気が著しく下がっていた。
それにより、一時は城壁に登っていた兵士も沢山いたが、今では全ての兵士が地面に叩きつけられており、梯子も壊されていた。
そんな中、オストマン帝国軍が奇襲を受けたがなんとか勝利したという情報がもたらされ、士気は戻って来ていた。
しかしオストマン帝国側にいたエレンジア王国軍が徐々にこっちの戦場に移動してきており、勝ち目は薄くなっていたがそれでもレオ王子は攻撃の命令を繰り返すのであった。
「レオ王子は阿呆よ。攻城兵器もなく、魔法も撃てず、ただ一方しか攻められない敵軍になんの脅威があろうか。」
ラインフェルト元帥は、ここで反乱軍を減らしておこうと考えていた。
「城門を開けよ!ラインフェルトが率いる300の勇猛な騎馬隊が敵を討つぞ!!」
ラインフェルト元帥と直属の部下300人を率いる軍が城門を出て、敵を出来る限り減らそうとしていた。
「鉄壁だ!鉄壁が打って出たぞ!逃げろーー」
敵は予想もしなかった攻撃に混乱していき、中には逃げ出す者も出ていた。
「敵は少ないぞ!囲んで捻り潰すのだ!」
レオ王子はそう指示を出し、遅れながら冷静さを取り戻していったが、
「離脱するぞ!皆の者ついて参れ!!」
包囲が完成する直前で敵が少ないところを目掛けて突撃していき、そのまま要塞の中に帰っていったのであった。
エレンジア王国側はこの突撃で124名が亡くなった。一方レオ王子側は、これ以上の攻撃は無意味だとようやく理解し、2日目の戦闘は終わったのであった。
ここに、ドラマリ要塞攻防戦2日目が幕を下ろしたのであった。
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2日目の戦死者及び負傷者
オストマン帝国軍 約8000
死者 約1000人
負傷者 約1400人
合計 約2400人
レオ王子反乱軍 約12000
死者 約2300人
負傷者 約3600人
合計 約5900人
エレンジア王国軍 約8600人
死者 約1100人
負傷者 約3100人
合計 約4200人
明日の戦闘では、昨日の戦闘で負傷して、戦場に復帰出来る兵士も含めて、オストマン帝国軍が約5800人、レオ王子反乱軍が約6100人、エレンジア王国軍が約4400人となっている。
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