第11話 ドラマリ要塞攻防戦 2日目前半
2日目の朝は、戦場が嵐の前の静けさが訪れているように静かであった。両陣営の兵士はこれから始まる戦に緊張をしているようだった。
開戦が始まったのは、レオ王子の一言からだった。
「皆の者!逆賊ラインフェルトを討ち取るのだ!突撃せよ!!」
レオ王子の言葉により、レオ王子の軍とオストマン帝国軍が一斉に攻撃を開始した。
これにより、戦史に名高いドラマリ要塞攻防戦2日目が幕を開けたのだった。
防衛側は、昨日と同じ戦術を取り、兵士の配置も変えなかった。
これには理由があり、昨日戦い慣れた配置を変えても混乱するだけだろうという、ラインフェルト元帥の考えがあった。
エレンジア王国軍は戦場の経験が少なく、臨機応変な対応が出来る兵士が少なかったのである。
一方、レオ王子やオストマン帝国軍は魔法や弓で、相手を牽制しながら、兵士を突撃させていた。
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オストマン帝国側の戦場
オストマン帝国軍はカタパルトを使いながら、破城槌の周りを兵士で固め、前進させていた。
アクロフ中将は、破城槌が一機壊れても問題がないよう、3機用意し、同時に前進させていた。壊れても、破城槌が遮蔽物となって相手の矢が当たりにくくなるという計算もあった。
「矢を破城槌の周りにいる兵士に狙いを集中させろ!!絶対に城門の前まで持って来させるな!」
ラインフェルト元帥の指示により、破城槌の周りにいる兵士が集中的に攻撃されていった。
エルフの弓は正確に敵兵を撃ち抜いていっていたが、集中攻撃している間に、オストマン帝国軍は城壁に張り付き、梯子をかけ始めた。
「皆の者、梯子をどんどんかけていけ!突入口を増やしていくのだ!」
オストマン帝国兵は、梯子を次々にかけていき、ついに、城壁の上に登った者も出た。
「エルフの者どもよ!身体強化魔法をかけろ!
そして、オストマン帝国軍を跳ね返すのだ。」
オストマン帝国兵は、近接戦では弱かったエルフが急に強くなるのに驚き、そのまま城壁から落とされてしまった。
エレンジア王国軍は城壁の上にオストマン帝国兵が居なくなると、梯子を壊し始めた。
しかし、城壁の上で戦っている間に、破城槌が城門まで届いたのであった。
それを確認した、アクロフ中将は追加の兵を突撃させ、8000あった兵が、本陣には、400しか残っていなかった。
ラインフェルト元帥が追加の兵がオストマン帝国軍の本陣から出されたのを見て、少し経つと、戦場に轟くような声を発したのである。
「いまだ!!!この突撃に全てを賭けよ!!」
この言葉が戦場に轟いた瞬間、オストマン帝国本陣の右側にあった急斜面な崖から、エレンジア王国軍の騎馬隊が約600ほど下ってきていた。
アクロフ中将は騎馬隊の姿を視認した後、すぐに指示を出した。
「今すぐ、先ほど出した兵を戻すのだ!!この動きで全ては決まるぞ!!本陣は直ちに対騎馬陣形に変更せよ!」
アクロフ中将の言葉と共に、他の指揮官は慌ただしく動いていった。
「これが、[鉄壁]ラインフェルトか。周辺の調査はしたはずなのに、見つからなかったとは」
アクロフ中将の小さくため息をつき、この難局をいかにして乗り切るかを考えていた。
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レオ王子反乱軍側
レオ王子の方の戦場では、本陣に2000の兵を置き、他は全て突撃させていた。
レオ王子は攻城兵器は破城槌1つしか用意しておらず、破城槌は一万の兵と共に投入していた。
一方、防衛側は3000の兵しかおいておらず、敵は3倍以上という、苦しい展開が予想された。
しかし、弓部隊を2000全て最初から射たせ、魔法部隊を1000人にし、半分ずつで交互に戦場へと撃たせていった。
レオ王子の方の魔法師は本陣にいる300だけだった。
レオ王子の方が少ない理由としては、レオ王子が魔法を嫌っており、魔法を使うならば身体強化魔法だけだと言っていた。
なので、そこまで魔法師を置く事ができなかったからである。
突撃した兵は、止まらない魔法に恐怖を感じながら突撃しており、戦場の経験が少ない兵が多かったので、まともに走れる兵も少なく、止まった者はすぐに矢で射たれていた。
そんな中、数の暴力で突撃していた、レオ王子陣営は、ついに、城壁まで辿り着き、梯子をかけ始めていた。
破城槌は魔法で集中攻撃されて、こわされており、梯子を使って登るしかなかったのであった。
ようやく兵が城壁の半分に到達したというところで、ラインフェルト元帥の声が聞こえた。
「いまだ!!!この突撃に全てを賭けよ!!」
この声が聞こえた時、驚いた兵が多数出て、梯子から落ちる兵が続出したと言われている。
この声によって、城壁を攻略される時間が長引いたと言っても過言ではないだろう。
10時にスタートとしたドラマリ要塞攻防戦2日目はまだ4時間しか経っていない。
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ドラマリ要塞
ドラマリ要塞の城門は3つあり、ドラマリ要塞から右側にある山以外の全ての方向に城門がある。当時のエレンジア王国はここから軍が出撃する事を見越して建設していたのである。
また、ドラマリ要塞は中に最大収容人数2万と国内でも最大規模と言っても良いほどの大きさを誇っている。
ラインフェルト元帥の騎馬隊
東部にある騎馬隊は高い練度を誇り、エレンジア王国の東部では平原が多く、活躍する場も多くあった。
しかも、騎馬自体が国内で一、ニを争うほどの良質な騎馬の産出する産地でもある東部は、騎馬に乗って活躍する事が、1番の名誉だというエルフも多い。
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