第6話 不仲な王族


 暴風をオストマン帝国に向かわせてから2日経った頃、ライリーは弟と妹の第二王子と第三王子、第二王女の4人で話していた。


 第一王女が居ないのは、国内の上級貴族と結婚していて、王宮には居ないからだ。


「兄上はこれからの王国をどうするつもりなんだ?」

 

 口調を強くして言っているのは、ライリーの弟の第二王子だ。力だけならこの国でも上位の実力はあるぐらいの強さだが、その代わり頭を使う事は出来ないという脳筋タイプの王子である。


「平穏な変わり映えのない治世になるのでしょうね」


 少し、皮肉って言っているのは、第二王女のイザベラだ。昔はお兄様、お兄様と可愛くライリーに懐いてくれていたのに、今は謀略や知略に秀でている。


 その為の裏の組織を暴風以外に持っているというのを前に暴風のリーダーから聞いた。


「そんな事を言うんじゃないですよ。兄さんの治世が平凡な治世となる事には同意しますが」


こう言っているのは、国内では魔法研究の第一人者と言われている、第三王子のヴェルナーだ。ヴェルナーによってこの国の魔法技術は飛躍して行っているが、その為には非人道的な事も辞さないという弟である。


「私は、この国を栄えさせる為に今の制度を変えたり、導入したりして発展させていくよ。その為には、軍を動かすのも視野に入れているよ。」


(私の治世になったら、この国を発展させる為に実力主義的な側面も入れていかなくては)


「兄さんに出来るとは思いませんがね」


 ヴェルナーはこの言葉を言い、部屋から出ていった。顔が無表情だったのが印象的だ。


「俺はこの国で王になる為の野心はまだ捨ててねえからな」


 第二王子のレオは怒ったように席を立ち、周りにある物に当たり散らしながら部屋を出ていった。


「私は兄上を一生許しませんから」


 イザベラは、ライリーに嫌悪感を示しながら部屋を出て行く。


「未だにイザベラはあの事について根に持っているのか」


 イザベラの言葉には少しだけ心が痛くなった。


「殿下は悪くありませんよ。あれば仕方なかった事です。」


 マーチェスはそう言い、少しだけ悲しそうな表情を浮かべた。


「マーチェス!いつからここに居た?」


 ライリーはマーチェスが入ってきていたのに気づいていなかった。


「イザベラ様が出ていかれてからすぐに入りましたよ?」


 マーチェスはドアのノックをしていたようだった。不思議そうな顔でライリーを見た。


「そうか、気づかなかった」


私はそこまであの時の事を思い出していたのかと思った。


「そうですか」


マーチェスは少し笑い、持ってきた書類を私の机の上に置き、これが今日中にやらなければいけない書類です。と言い部屋を出ていった。



(はあ〜、書類の量が多いな。今日もイリスには会えそうにないか。明後日、デートする事になっているからそれまで、頑張るとするか)



兄弟の亀裂は時を経つごとに深まっているのを実感しながら、大丈夫だろうとどこかで思っているライリーだった。



………………………………………………………



周辺国の紹介


       オストマン帝国


 軍事力に優れている。皇帝が絶対的な力を持っている。列強の1つ


      マリアロ神聖国


 宗教国家。信者達による死をも恐れない戦いぶりは敵に恐怖を感じさせる。列強の1つ


     ランスルフーロ王国


 貴族の力が強く、しばしば、反乱が起きることが多い。しかし、豊かな国土では、穀物が大量に取れ、周辺国に食料を大量に輸出している。

周辺国の中では、1番人口が多い。列強の1つ。

          


 

 オストマン帝国は、エレンジア王国の東側にあり、マリアロ神聖国は北側にあり、ランスルフーロ王国は西側にある。

 南はオストマン帝国とランスルフーロ王国の領土でお互いに半分ずつぐらいを領有している。







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