第4話 ハイエルフの恋


(こんなにも胸がどきどきするのは生まれて初めてかもしれない。少しだけぼーっとしてしまった)


「ライリー、大丈夫か?」


「あっ、申し訳ございません。大丈夫です」


「そうか、ならいい」


(あぶねー、父上に勘付かれるところだった)



 

「では、この度はありがとうございました。」


 短い挨拶は終わり、ゴンドリー公爵家は会場の中へと去っていった。



 そこから何人もの貴族たちが来て、全ての挨拶が終わると、ようやく解放された。


 解放された後、少しの料理をとり、こそこそとベランダの方へと向かった。



「あっ、すいません。殿下が来たことに気づきませんでした。」


なんと、そこにイリスがいたのであった。


「いえ、お気になさらず。それにしてもなぜここに来たのですか?」


「ここから見える庭園がとても綺麗でして、ずっと眺めていたのです」


 そう言い、イリスはライリーに微笑んで来た。その笑顔はとても可愛く、胸がどきどきした。


「あの、一緒に庭園を少し周りませんか!」


(やってしまった。初めて出会ってすぐなのにこんなことを言ってしまうなんて。めちゃくちゃ恥ずかしい)


「いいですよ。私も見て周りたかったのです。殿下はこの庭園について詳しいのですか?」



 ライリーは了承してもらえて安堵の表情を浮かべた。今から一緒に周ると考えると胸が一層熱くなった。


「ええ。よくこの庭園は訪れますから」


ライリーの亡き母上は、この庭園が好きでよく訪れていた。ライリーもよく連れて行ってもらっていた慣れ親しんだ庭園であった。


「では、殿下よろしくお願いします」


「はい!」


 イリスと庭園を見て周り、ライリーはとても楽しかったと感じた。仲が深まった気がし、今回の誕生会はして良かったと思えるものだった。



 ライリーは後でリチャード王にイリスのことを勘付かれてしまったのは、失敗だったと思っていた。


 しかし、イリスには婚約者が居ないと知り、ライリーの心の嬉しさは限界までたってしてしまっていたので結果オーライと言ったところではないのかもしれない。



 リチャード王とランベルト公爵が一緒に話し終わった後、自分の父親がニヤニヤとしていたのがライリーは少し気になったが、とりあえず気にしないでおくようにした。



 その2日後、ライリーはイリスの婚約を自分の父親から聞かされた。


 そこではライリーは平然としていたが、部屋に戻った時には、ベットの上で飛び跳ねてしまい、マーチェスに怒られてしまった。



………………………………………………………


  エレンジア王国の結婚制度


 エレンジア王国では、基本的には一夫一婦制になっている。しかし、貴族と王家だけは一夫多妻制が認められている。


 エレンジア王家の継承権は男性優先となっている。


第一王子 ライリー  第二王妃の子供

第二王子 レオ    第一王妃の子供

第三王子 ヴェルナー 第三王妃の子供

第一王女 リナ    第一王妃の子供

第二王女 イザベラ  第二王妃の子供


が継承権を持っている。









 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る