第3話 王太子ライリー


 初めての執務から2ヶ月が経ち、ライリーの32歳の誕生日の日となった。今回の誕生日では大々的にお祝いするらしく、ライリーの王太子任命も兼ねている。


 正直に言うと、ライリーは誕生日なのに堅苦しくて苦手なパーティーがあるので、少し憂鬱になる。



「はあ〜いくつになってもパーティーは堅苦しくて慣れんな」


「今回は、大勢の貴族が参加するのですから、しっかりしてください。王太子任命も兼ねているのですから」


今回の誕生日では、王太子任命も兼ねているところもあって、下級貴族から上級貴族まで大勢の貴族が参加している。


 一応、第一王子として、ライリーは国内の全ての貴族の名前は覚えたが、顔と名前が一致するかは不明だ。


「だがなあ〜、婚姻を勧めてくる貴族が沢山いるのが1番めんどいんだよなあ〜」


「殿下が未だ、お相手を決めてないのですから仕方ないですよ。そんなにめんどくさいのでしたら、お相手をお決めしてはいかがですか?」


 いつの間にかライリーの表情が顰めっ面になっていた。


「婚姻したくない理由を知ってるうえでいった言葉か?マーチェス。」


「申し訳ございません。そうでございましたねすっかり、忘れてました」


(はあ。私が婚姻しても、私は長く生き、妻も子供も先に死ぬ。そんな苦痛を感じるぐらいなら私は妻を持たないことに決めている)


 初代国王は、家族が先になくなっていくという。苦痛に耐えきれなくなり、自殺したのである。ライリーは、そんな苦痛を感じずに生きていきたいと思っている。


「そろそろ参りましょうか」


もうそんな時間かと思いながら。最後に服をチェックしてライリーは、会場へと向かった。



 ライリーが会場に着き、しばらくすると、リチャード王の言葉が始まった。


「今宵、集まってくれた我が国の貴族たちよ。我が息子、ライリーが32歳になった誕生日に来てくれ、とても感謝している。そして、今日は重大な発表がある。」



 その瞬間、会場の貴族からどよめきが起こり、貴族同士で小声で話し始めた。


 しかし、めざとい貴族や王宮にいつも出入りしている貴族たちは静かに堂々と国王を見つめていた。


「静まれ! このエレンジア王国の王太子に今日、ライリー・ウィン・エレンジアを任命することをここに宣言する!!」


 その瞬間、会場が歓喜に沸き「ライリー殿下に栄光あれ」と会場の至る所から声が聞こえてきた。


 ライリーはこの時、この国をもっと栄えさせていくと誓ったのであった。


 会場の歓喜が収まったのを見計らい、リチャード王は


「それでは、王太子ライリーの誕生会を始めよう。皆のもの、存分に楽しんでいってくれ。」


 そうリチャード王は言い、国王が座る椅子に腰掛けたのであった。




「王太子殿下、この度は誕生会にお招きいただきまことにありがとうございます。ところで……

王太子殿下はまだ婚姻してないとお伺いしていたのですが、でしたら私の娘なんかをいかがでしょうか?私の娘は………」



 ライリーは、延々とこのような話しを様々な貴族に聞かされていた。とても帰りたい気分になったが王太子になったからには、居続けなければならない。


 適当に返事をして、次の貴族の挨拶がまた来た。



「次はゴンドリー公爵一家でございます」


(ゴンドリー公爵か。あまり王都におらず、自分の領地で大半を過ごし、民に善政を敷いていると聞いているな)


「王太子殿下、国王陛下夫妻この度はお招きいただきありがとうございます。私、ランベルト・ウィン・ゴンドリーと申します。こちらは私の家族で」


「妻のアンナ・ウィン・ゴンドリーと申します。この度は誠にありがとうございます。」


「息子のギルベルト・ウィン・ゴンドリーと申します。この度は誠にありがとうございます。」


「妹のイリス・ウィン・ゴンドリーと申します。この度はお招きいただき誠にありがとうございます。」


ライリーは、この瞬間一目惚れとでも言うのだろうか、エルフとしては珍しい銀色の長い髪に、透き通った翡翠のような色をした目、160センチぐらいの身長で綺麗な所作をしていた18歳ぐらいのこの子から目を話せなかった。


………………………………………………………


   エルフの特徴


 長い耳、平均400年は生きる寿命に、20歳ぐらいの体の全盛期で成長は止まり、400歳に近づくにつれ、だんだんと老化していく。

 髪の毛は基本的には金色が多く、エレンジア王家は緑色の髪の毛となっている。


 エルフは、他の人類より美しい見た目と言われており、人族の国では高値で奴隷として売られている。


 肉体はそれほど強くはなく、筋肉がつきにくい種族であり、その代わり弓と魔法に天賦の才を与えられる。目がよく、人族の3倍以上は遠くを見渡せると言われている。


 魔法の才能はほとんどが風に適正を持ち、火属性に、適正を持つことはほとんどない。

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