第12話 派手すぎた祝勝パレード Part7

「だめだ、もう・・・」


ハラユキが諦めたその時だった。


「ダイナマイトクラーッシュ!!!」


ものすごい気砲のようなものが、シューラウドを直撃する。


「ぐあああ!!」


シューラウドは吹っ飛んだ。

ハラユキの光魔法でダメージを受けていた状態とはいえ、

かなりの威力でなければシューラウドはここまで吹き飛ばない。


「な、何だ今のは!?」


シューラウドに苦しめられていた4人も解放され、事なきを得た。


「な、なぜ貴様が生きている!?」


シューラウドは、驚いた表情をしている。


「久しぶりだな、シューラウド」

「まさか生きていたとはな、勇者ダイナマイトビンゴ!!」


まさかの、勇者ダイナマイトビンゴだった。

かつて、魔王との戦いで命を落としたと言われていた、あの勇者だった。

しかし、彼は目の前にいる。

いったいどういう事なのだろうか。


「かつて、お前と闘った際、俺は死んだと思っていた。

むしろ、生きていたのが不思議なぐらいダメージを受けた。

しかし、偶然知り合ったエルフにより、命を助けられたのだ。

おかげで、俺は今ここにいる」


エルフ・・・何か、思い当たる事のあるハラユキ。


「しかし、すぐに動ける状態では無かったのでな、

しばらくは回復のため、英気を養っていたのだ。

お前がまた、暴れ出した時の事を考えてな!!」


死んだと思われていた伝説(?)の勇者。

顔は超イケメンだが、名前はアレな男が奇跡的に生きていたようだ。

ハラユキ達は、ダイナマイトビンゴのおかげで無事に助かった。

ただ、シューラウドからすれば、最悪のタイミングで最悪な事が起きた状態。


「まさか、生きていたとはな・・・

ならば、貴様もまとめて始末してやる。あの時の恨みは忘れんぞ!!」


シューラウドは、力を込めて大きな玉のような物を作りだした。


「これは私の生命を削って作ったエネルギーボールだ。

この一帯を吹き飛ばせるほどの破壊力がある。

まとめて、散るがいい!!」


そのエネルギーボールは、みるみる膨らんでいく。


「よせシューラウド。そんな事をすれば、お前もただでは済まんぞ!」

「タダでは済まんが、私はギリギリ生きられる。

だが、貴様ら人間は絶対に助からん。

使いたくは無かった技だが、ダイナマイトビンゴもいるなら、

この方法しかあるまい!」


エネルギーボールは、さらに大きな玉へと膨れ上がった。

これが放たれたら、街は跡かたも無くなるだろう。


「・・・仕方が無い。ならば、俺も最後の手段だ!」


そう言って、ダイナマイトビンゴは俊足でシューラウドに近づく。


「無駄だ。私を攻撃しようが何しようが、もう止められん!!

この街もろとも、全て消え去るがいい!!」


エネルギーボールを放とうとした時、

ダイナマイトビンゴは、ギリギリのところでシューラウドに接近する。

そして、ダイナマイトビンゴはシューラウドに、


・・・


優しくキスをした。

それは、めくるめくような甘いキスだ。

イケメンにしかできない、とろけるようなキスだ。

シューラウドは、予期せぬ出来事に身動きが出来ない。


一方、そのカオスな状況を見ていたハラユキ達。


「な、何が起こった?

てか、こんな時に何やってんの!?」


全員一致で、この反応だ。

だが、良く見るとエネルギーボールが見る見る小さくなっていく。

そして、エネルギーボールは完全に消滅した。


「もしかして、何か特殊なキスなのか?相手の体力を奪うなどの」


確かに、ただのキスでシューラウドを抑えられるとは思えない。

あれだけ怒りをあらわにして、暴れていたのだから。


「もしかして、ダイナマイトビンゴが勇者になった理由は、

魔王を止める事が出来る、特殊な力があるからこそ選ばれたのかな。

あんなヤバいエネルギーボールを抑え込めるんだから、すごいよ」


ハラユキは、ただただ感心していた。

自分が、この作品の主人公だという事も忘れて。


ひとまず。間一髪といったところで大災害は免れた。

ダイナマイトビンゴがいなければ、世界は終わっていた可能性もあるのだから。


そして、ダイナマイトビンゴは、ゆっくりとシューラウドから唇を放す。


「すまなかったな、シューラウド。あの時、君を裏切るような事をして」

「・・・ううん、もういいの!ビンゴきゅんが私のところへ戻ってきたから、

とってもうれぴ!!」


・・・!?


明らかに、シューラウドのキャラが崩壊した。

どうしてこうなった!?


「では、説明しよう!

今明かされる、シューラウドが暴れてしまった理由を!」


突然、ナレーター口調でダイナマイトビンゴが話し出した。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る