第12話 派手すぎた祝勝パレード Part5
街はボロボロになり、ケガ人も続出したが、どうにか死人は出なかったようだ。
「いやー、何とかなったな」
終わってみれば、気楽なものである。
みんな、ほっとした表情で腰をかけ、会話をする。
「これで、一件落着といったところかな」
「ああ、いつかまたどこぞの悪い魔族が出てくるかも知れんが、
今回の相手はかなりの大物だった。奴を倒せたのは大きいぞ!」
ハラユキとオリビアは、大きな成果に笑い合った。
ボロボロの状態なのに、とても楽しそうな雰囲気だった。
「とりあえず、これからどうするんだ?ハラユキ」
「そうだな。さすがに冒険者はもうこりごりだから、やっぱり
お笑い芸人としてテッペン取るために頑張るよ」
そう、ハラユキの夢は、魔王を倒す事ではない。
あくまで、芸人として天下を取る事が一番の目標だ。
ハラユキにとって、ようやくスタート地点に立てたような感じがした。
「おーい」
声をかけたのは、シャルルの兄だった。
その横に、アスタロットンとルミーラがいる。
「子供たちは?」
「あの子たちは、念のため医療班の人たちに見てもらっているの。
私たちは魔族だから、もしかしたら冷たくあしらわれるかと思ったけど、
みんな優しくしてくれたよ!」
ケガ人が多いため、突貫で作った医療所に子供たちをいったん預けたようだ。
かすり傷ぐらいのようだが、まだ幼い子たちなので、念入りに見てもらう方が良いだろう。
「わたしの爆弾いるか?もう必要ないから、二人にあげるぞ」
ありがたい話ではあるが、怖いので丁重にお断りを入れた。
「しかし、俺ほどの筋肉を持ってしても、あそこまで簡単に飛ばされるとはな。
まだまだ、筋肉が足りないようだ。
いや、筋肉に対する理解を、筋肉がしていなかったんだ。
筋肉に、真の筋肉たるものを教えていかねばならないな!」
はっきり言って、何を言っているのか分からない。
読者も、まず理解できないだろう。
理解出来るとすれば、本物のマッチョだけだ。
ゆっくりとした後、ハラユキが話し出す。
「とりあえず、今日はどこかで寝泊まりして、明日王様に挨拶したら
次の街を目指して旅をしようかな」
「次は、どこに行くんだ?」
「そうだな、けっこう大きな劇場のあるクラントライムに行こうかな」
「おお、そこは大きな劇場やカジノ、高級宿屋やハラユキが大好きな夜のお店も大量にある、遊ぶには最適な街だぞ。
そうか!ハラユキの真の目的はそれだな!
どんな店に行くんだ?美人系か?ロリ系か?熟女系か?
まさか・・・アニキ系か!?」
勝手にハラユキの性癖を決めようとするオリビア。
もちろん、そんな目的で行くわけではない。
が、ハラユキも興味が無いわけではない。
男ですから。
「しかし、今日はどこか宿取ろうと思ったけど、
どこもボロボロだし、野宿も覚悟が必要かな」
宿屋に泊まれるかどうか分からないが、
とりあえず泊まれそうな所を探すことにした。
その時だった。
5人の背筋が凍る。
信じたくない。
信じたくないが・・・
この感じは、記憶にある。
つい、先ほどの記憶に・・・
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