第12話 派手すぎた祝勝パレード Part3

大きなダークボールが、城に直撃する・・・かと思ったら、

ダークボールの動きが止まった。


「な、なぜだ!?なぜ止まった!?」


驚くシューラウド。ダークボールは、少しも動かない。


「おい、あれは!?」


オリビアが目を凝らして良く見ると、誰かがダークボールを止めていた。


「あの筋肉、まさか、シャルルの兄さん!?」


そう、 ダークボールを止めていたのは、シャルルの兄こと、オンボロギンボ(以下略)だった。


「でぴゅあおらあああああああああああああああ」


謎の雄たけびと同時に、その磨きあがった筋肉で

ダークボールを空に向かって投げた。

そして、ダークボールは、遥か遠くの彼方へと消え去っていった。


「バ、バカな!?私のダークボールが・・・」


街一つ破壊するレベルの魔法を、シャルルの兄は退けたのだった。


「シャルルの兄さん、なぜここに?」

「よう、ハラユキ!元気だったか?どうも筋肉がうずいたんでな。

気になって、この街へと来てみたんだ。そしたら、変な黒いボールみたいなのが

城にぶつかりそうになってたから、跳ね退けてやろうと思ったわけさ!」


どうやら、シャルルの兄の筋肉は、ダークボールを跳ね返すほど

磨きあがっていたようだ。

筋肉は正義。筋肉は万能。筋肉は魔力。筋肉は(以下略)


「ふざけるな!お前みたいなマッチョごときに、跳ね返せるわけがないだろ!」


当然だが、シューラウドは納得していない。

筋肉にも、限度はある、


「そうだな。俺の筋肉だけでは無理だ。しかし、俺の筋肉を最大限まで

引き上げてくれる存在がいればどうかな?」


「なに!?」


辺りを見渡すと、懐かしい顔がもう一人いた。


「私の歌の力で、みんな元気になって~!」


かわいい声で、元気いっぱいの歌が聞こえる。

そう、アスタロットンの歌声だった。

しかも、アスタロットンが面倒見ていた子供たちと一緒に、

元気いっぱいの歌を歌いだした。


「おお、体の傷が回復するぞ!」


ケガをしていた人々が、次々に回復していく。


「アスたん、クリスタルの力も無いのにどうやって?」

「私は魔族だから、クリスタルの力を失っても、ある程度魔力が残ったの。

それを活かして、私は全力で歌を練習したの。

そしたら、クリスタルの力を借りなくても、みんなを元気に出来る歌を歌えるようになったの!

みんなのケガを治したり、パワーアップさせられるような歌を歌えるようにね!」


つまり、シャルルの兄の筋肉は、アスタロットンの歌によって、

一時的にパワーアップしていたのだ。

しかも、子供たちと一緒に歌を歌っていたこともあり、

効果は倍増だった。


「お兄ちゃん、いっぱい歌うから、頑張って~!」


アスタロットンや子供達の素敵な歌声が多くの人々を回復し、

パワーアップしていく。


「たかが下級魔族の小細工。少々パワーアップしたところで、私を止められはせん」


シューラウドは、両手に黒い剣を出し、アスタロットンに襲いかかる。


「や、やめろ!!」


ハラユキは、慌ててシューラウドを止めようとする。

しかし、シューラウドの動きはケタ違いに早い。


「死ね!下級魔族が!!」


すると、何かが飛んできた。

そして、爆発を起こす。


「な、なんだコレは!?」


爆発した後、色んな色の煙が出ている。これは、煙幕の類だ。


「おのれ・・・誰だ!?」


煙が徐々に消え始めたころ、一人の女性の姿が見えた。


「君は、ルミーラ!!」


シャルゴラドで出会った、ルミーラがそこにいた。


「久しぶりだなルミーラ。トキアは、もう大丈夫なのか?」

「ええ、トキアの祖父の家で、今は元気にしているわ。

魔王を倒したと聞き付けて二人を祝福しようと思って来てみたら、

とんでもない敵がいたのね」


思わぬ再会が都合良く連発するが、

ハラユキとオリビアには非常にありがたい状況だった。


「ハラユキ、この揃いも揃った状況を利用し、奴を仕留めるぞ!」


オリビアは、力を込めてシューラウドへ攻撃体制に入る。


「シューラウド、ギルドでシューラとして働いていた時の君は、

本当に仮の姿だったのか?

本当は、あの姿こそが君の本当の姿なんじゃないのか?」


そう言うと、シューラウドの動きが止まる。


「ハラユキ・・・貴様は少々優しすぎるな。

だが、その優しさが命取りになる事もある。

優しさだけじゃ、戦いは勝てない。かつての、私のように・・・」


どこか、シューラウドの表情が悲しげに見えた。


「それに、私は魔王だ。考えを改める気は無い」


ハラユキは、出来れば違う答えが返ってくる事を期待した。

しかし、ハラユキの気持ちと裏腹な答えが返ってきた。

これは、避けられない運命だったのだろうか・・・


「なら、仕方ない。シューラウド、お前を倒す!!」


心強い仲間達とともに、真の最終決戦が始まる。

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