第12話 派手すぎた祝勝パレード Part1

魔王を倒した祝いに、城下街では大きなパレードが行われていた。

そして、魔王を倒したハラユキとオリビアは、街中から歓声を浴びる。


「新しい勇者様だぞ!」

「ギャグが冴えているらしいぞ!」

「オリビアさんは、女が好きなんだって!?」


色んな噂話が聞こえてくる。

どこで仕入れたのか分からないような話まである。


「とりあえず、私のよからぬ噂を立てている奴は、後で話をしに行くとするか」


どうか、その方が無事でいますように。


二人がパレードで街中を歩いていると、

ギルド受付のシューラがいた。


「おめでとうございます!最初はどうなるか不安でしたが、

みごと魔王を打ち倒してくれましたね!

これでクエストは全て完了し、大きな目標が達成されました。

本当に、ありがとうございました!」


シューラは、笑顔で二人に感謝の言葉を贈った。


「ありがとうシューラ、君のアドバイスのおかげで、無事にやり遂げたよ」

「いえいえ、ハラユキさんの優しさと、素敵なギャグ魔法のおかげですよ!

そしてオリビアさん、これほど美しい最強の戦士はいません!

素敵すぎです、お二人とも!」

「まあ、私が美しいのは当然として、今回の戦いは中々歯ごたえのある

ものだった、また何かあれば、私に言ってくれ!」


オリビアは少し天狗になっていた。


ハラユキも、巻き込まれて凄く嫌な思いも多々してきたが、

この盛大なパレードと、ずっと世話になったシューラから最高の言葉を貰えた。

それを考えると、決して悪い事では無かったのかもと思いにふける。


「お二人がクエストで獲得したクリスタルは、私の方でお預かりいたします。

このクリスタルは、今後重要な研究対象となりますので」


ギルドに寄らず城へ行っていたため、アイテム類は全部

持ったままパレードに参加していた。

けっこう重たいクリスタル4つだったので、丁度良いタイミングと思い、

シューラにクリスタルを預けた。


「すまない、ちょっと重たいけど、よろしく頼むよ」


ハラユキは、クリスタルをシューラに渡した。

そして、シューラはギルドへと帰っていった。


「どうだハラユキ?生まれて初めて、多くの人から歓声を浴びる気分は?」


オリビアが、ちょっとからかうような表情と口調で言う。


「そうだね。まあ、総合的に考えればツライ事の方が多かったけど、

このパレードでみんなの笑顔を見たら、頑張って良かったと思うよ」

「そうか」


パレードの中歩いた先で、王様が出迎えたくれた。


「よく頑張った!ハラユキ、オリビアよ、

見事、魔王を倒してくれた!

国を代表し、心より礼を申し上げる」


王様より、称賛の言葉をいただく。


「ハラユキくん、オリビアさん、本当にありがとう。

君達二人のおかげで、世界は救われた。

私も今年で定年退職だが、最後にすばらしい勇者達に出会えて良かった。

本当に、ありがとう」


警察所長が、少し涙ぐみながら言葉をくれた。

ハラユキもつられて、ちょっと泣きそうになる。


「うれしいな。俺が、こんな事言ってもらえるなんて」

「しかも、多くの歓声付きだぞ!」

「そうだね。これが、芸人として成功した歓声なら、もっと良かったんだけどな」

「そう言うなハラユキ、ここまで良い結果を残したんだ。きっと、芸人としても成功できるさ」


オリビアらしからぬ、とても優しく、嬉しい言葉をくれる。


「オリビア・・・」


これでオリビアとの冒険が終わると思うと、安心の反面、少し寂しさも感じていた。


「けど、あのクリスタルは何だったんだろう?誰かが作った物なのかな?」


ハラユキは、クリスタルについて最後まで謎だったため、ふと疑問に思った。


「まあ、これから解明されていくだろう。後は、この国の研究者にでもまかせよう」


せっかくの祝福イベント、二人は楽しむ事にした。


その時、



どかーーーーーん!!!!!



遠くから、ものすごく大きな爆発音が聞こえた。


「なんだ!?何が起こった!?」

「大変です王様!街に、恐ろしい魔物が現れました!」

「何だと!?」


魔王を倒したはずなのに、まだ魔物がいる。


「すまん、二人は爆発した場所に向かってくれんか。ワシも兵士達を向かわせる」


何が何だか分からないが、嫌な予感はビンビンの二人。

爆発があった場所へ急ぐ。


「この辺か」


たくさんの爆発跡。多くの建物が崩壊し、火災が発生している。

街にはケガ人だらけ。阿鼻叫喚の風景。


「なんだこれは!?」


ハラユキは、少し青ざめた表情で辺りを見渡す。


「どこかに魔物がいるはず。早く始末しなければ!」


オリビアも、必死で魔物を探す。

すると、


「そんなに必死にならなくても、ここにいるぞ」


声がした。

それも、聞き慣れた声が・・・

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